方言辞書。〈諸国方言〉と角書する。5巻5冊。越谷(こしがや)吾山(1717-87)著。1775年(安永4)刊。全国各地の方言語彙(ごい)4000を,天地,人倫,動物,生植(草木のこと),器用(道具類をいう),衣食,言語の7部門に分け,約500項の標語のもとに列挙する。ときに古書を引いたり解説を加えたりしており,凡例では,簡単ながら方言分布の大観をしている。日本における最初の全国方言辞典で,雅言が尊ばれた時代に方言語彙の編集を試みたことは評価すべく,また江戸中期の方言をうかがうに貴重な文献である。なお吾山の本姓は会田氏。武蔵国越谷(埼玉県)の出身で,江戸に出て俳人となり,曲亭馬琴の俳諧の師であった。
執筆者:山田 武
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