言理学(読み)げんりがく(その他表記)glossematics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「言理学」の意味・わかりやすい解説

言理学
げんりがく
glossematics

言語素論ともいう。 L.イェルムスレウの提唱した言語理論。言語の実質ではなく,純粋な形式を数学的に扱うことが言語学の課題であるとする。言語には表現 expressionの面と内容 contentの面があり,そのそれぞれに実質 substanceと形式 formがあるが,言理学は両者の formのみを扱うことになる。フランス語ではrの発音に[R],[ʁ]などが行われていて,ともに/r/に該当するが,ほんとうの言語はそのような実質ではなく,音とは関係のない図式,純粋形式なのであり,○でも×でも一定の単位さえあればよいとする。この理論の後継者には H.J.ウルダル,E.フィッシャー=ヨアンセン,K.トウビーなどがある。

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世界大百科事典(旧版)内の言理学の言及

【イェルムスレウ】より

…コペンハーゲン大学比較言語学教授(1937‐65)。言理学glossematicsと称する独自の言語理論を提唱した。1931年ブレンダルViggo Brøndal(1887‐1942)とともにコペンハーゲン言語学集団を創設し,39年《国際構造言語学雑誌Acta linguistica》を創刊した。…

【構造言語学】より

…構造言語学ないし構造主義言語学ということばは,ふつう1920年代から50年代にかけてヨーロッパとアメリカに生じた革新的な言語学の諸流派を総称するのに用いられるが,具体的にはプラハの音韻論学派(プラハ言語学派),コペンハーゲンの言理学グループ,アメリカの記述言語学の諸集団およびそのどれにも属しない諸学者の多種多様な主張や見解が含まれる。最大公約数的な理論上の特徴をあえてあげるならば,言語を記号学的体系と認め,あらゆる言語に普遍的な最小の記号単位の数や組合せの面での相違が言語体系の構造の差異を作ると考えて,各言語の精密かつ全面的な構造的記述の理論と実際を追求する立場といえよう。…

※「言理学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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