豆粒文土器(読み)とうりゅうもんどき

山川 日本史小辞典 改訂新版 「豆粒文土器」の解説

豆粒文土器
とうりゅうもんどき

長崎県佐世保市の泉福寺洞穴(どうけつ)遺跡で発見された縄文草創期の土器。長さ1cm,幅0.5cmほどの粘土粒を口縁部直下や胴部の器面に点々と貼りつけた豆粒文が特徴。口径約13cm,高さ約24cmで,胴部に最大径をもつ丸底の深鉢形土器。この土器は,同遺跡第2洞から検出されたもので,出土した土器群のなかで最も下層に包含されていた。最古縄文土器と考えられていた隆起線文系土器が7層~9層に包含されていたのに対して,豆粒文を貼付した土器は主として10層に包含されていたことから,隆起線文系土器よりもさらに古い最古の土器として報告され,縄文土器の起源論に重要な新知見をもたらした。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の豆粒文土器の言及

【泉福寺洞穴】より

…標高90mの砂岩岩壁に開口する四つの洞穴からなる。1970年から79年まで,佐世保市が麻生優に依頼して8次にわたる発掘調査を行った結果,最上層から土師器(はじき)や陶磁器が検出されたが,その下から順次,縄文時代晩期(黒川式),後期(鐘ヶ崎式),早期(押型文土器,条痕文土器),細石器を伴った草創期の爪形文土器,押引文土器が出土し,さらにその下から隆線文土器,最下層から豆粒文土器が検出された。従来,泉福寺洞穴の北7.5kmにある吉井町福井洞穴の第3層出土の隆線文土器が,草創期の最も古い土器であるとされ,その類が東日本にまで分布することが明らかにされてきたが,より古い土器として,豆粒状の小さな粘土塊を口縁とその外面下部にはり付けた豆粒文土器が,下層から検出された点が注目されている。…

※「豆粒文土器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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