貝合せ(読み)カイアワセ

デジタル大辞泉 「貝合せ」の意味・読み・例文・類語

かい‐あわせ〔かひあはせ〕【貝合(わ)せ】

平安時代物合わせの一。左右二組に分かれ、種々の貝を出し合い、その珍しさ、美しさなどを競う遊び。
平安末期から行われた遊び。360個のハマグリ貝殻を数人に配り、左貝(出し貝)・右貝(地貝じがい)の両片に分けたうえ、右貝を全部伏せて並べ、左貝を一つずつ出しながら、これと対になる右貝を多く選んだ者を勝ちとする。のちには、左右の貝を合わせやすいように、同趣の絵をかいたり、和歌上の句下の句に分けて書いたりするようになった。貝覆い 春》

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の貝合せの言及

【堤中納言物語】より

…仮名物語。《花桜折る少将》《このついで》《虫めづる姫君》《ほどほどの懸想(けそう)》《逢坂越えぬ権中納言》《貝合せ》《思はぬ方に泊りする少将》《はなだの女御》《はいずみ》《よしなしごと》の10編の短編と,〈冬ごもる空のけしきに〉に始まる,物語の発端とおぼしき約240字の断章とから成る,総量400字詰め原稿用紙でせいぜい80枚の短編物語集である。多くは王朝貴族男女の恋を主材としたものであるが,《虫めづる姫君》は人工排斥・自然尊重の理を尊び,蝶の根源たる毛虫を愛する姫君の生態と周囲の困惑とを戯画的に描き,《貝合せ》は好色の心で忍び入った貴公子が,本妻腹の姫君との貝合せを控えて孤立無援を嘆く異腹の姫とその女童たちのために,好色の心を捨ててひそかに立派な貝を贈り,観音の助けと随喜する女童たちをかいま見て喜ぶという無償の人間愛を描くなど,同じ王朝貴族世界のことながら題材が珍しい。…

※「貝合せ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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