(読み)ハマグリ

デジタル大辞泉 「蛤」の意味・読み・例文・類語

はま‐ぐり【×蛤/文蛤/×蚌】

《「浜栗」の意という》マルスダレガイ科の二枚貝。内湾の砂泥地にすみ、殻は丸みのある三角形で、殻長8センチくらい。殻表は滑らかで、黄褐色に褐色や紫色の模様のあるものが多い。北海道南部より南に分布。養殖もされる。殻は貝細工胡粉ごふんの材料。 春》からからと―量る音すなり/松浜」
[補説]日本の在来種は、昭和時代末より干潟の減少や水質汚染などによって急減しており、平成24年(2012)環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類に指定された。国内で食用として流通するものの多くは、近縁種チョウセンハマグリシナハマグリ

はま【×蛤】

はまぐり」の略。「焼き

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精選版 日本国語大辞典 「蛤」の意味・読み・例文・類語

はま‐ぐり【蛤・文蛤・蚌】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. マルスダレガイ科の二枚貝。北海道南部以南に分布し、潮間帯から水深一〇メートルの砂泥底にすみ、地方により養殖もされている。殻はほぼ三角形で、殻長約八センチメートル。表面はなめらかで、色彩は変化に富むが灰色の地に褐色または紫色の放射彩や斑紋(はんもん)のあるものが多い。内面は白色。肉は美味で、吸物・焼き蛤などとし、殻は胡粉(ごふん)や上等の人形の材料にされる。和名は「浜栗(はまぐり)」の意という。近縁種に、殻が碁の白石の最上の材料となるチョウセンハマグリがある。《 季語・春 》 〔二十巻本和名抄(934頃)〕
    2. の貝殻。飴、膏薬(こうやく)などを入れる容器として用いる。また、殻を合わせて、毛抜き代わりにしたり、貝合わせの遊戯に用いたりもする。
      1. [初出の実例]「今ぞ知る二見の浦のはまぐりを貝合せとておほふなりけり」(出典:山家集(12C後)下)
    3. ( 形動 ) 物事が齟齬(そご)すること。くいちがうさま。「はまぐり」の「はま」と「ぐり」を逆にして、くいちがう意を表わす「ぐりはま」をさらに元にもどしていった語。
      1. [初出の実例]「いや又、此やうに蛤(ハマグリ)な事はない」(出典歌舞伎桑名屋徳蔵入船物語(1770)二)
    4. 女陰、特に若い女性の女陰をいう。
      1. [初出の実例]「蛤へ伊勢路で鴫の不調法」(出典:雑俳・二柱(1743頃))
    5. 水揚げがすんで一本になった芸妓のこと。〔モダン新用語辞典(1931)〕
    6. 紋所の名。を図案化したもの。蛤蝶、丸に三つ蛤、五つ蛤などがある。
      1. 蛤蝶@丸に三つ蛤
        蛤蝶@丸に三つ蛤
    7. はまぐりば(蛤刃)」の略。
      1. [初出の実例]「いつまでか蛤になる小刀のあふべきことのかなはざるらん」(出典:七十一番職人歌合(1500頃か)三番)
  2. [ 2 ] 狂言。鷺流。旅僧が桑名の浜で休んでいると女性が現われ、いま足で踏んでいるのは何かと問う。僧が蛤だと答えると、女は弔いをたのんで消える。僧が在所の者に由来を尋ね、弔いを始めると、蛤の亡霊が女の姿で現われ、成仏の喜びを謡い舞う。

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普及版 字通 「蛤」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] コウカフ
[字訓] はまぐり

[説文解字]

[字形] 形声
声符は合(ごう)。〔説文〕十三上に「蜃の屬なり。三り。皆に生ず。千にしてして蛤と爲る。秦には之れを牡と謂ふ。云ふ、百の燕のするなり。魁蛤(くわいかふ)、一名復累(ふくるい)、老するなり」という奇怪な伝承をしるしている。服翼は蝠(こうもり)。三種の蛤とは、千歳雀・百歳燕・老服翼である。燕雀化生のことをいう文献は甚だ多いが、清の王の〔説文釈例〕に、老雀化蛤の実見談のことを記している。

[訓義]
1. はまぐり、大はまぐり。
2. かじか、蛤魚という。
3. 大がま、山蛤という。

[古辞書の訓]
名義抄蛤 ウムキノカヒ/蛤 イタヤガヒ 〔字鏡集〕蛤 ハマグリ

[熟語]
・蛤解蛤蟹蛤灰・蛤殻・蛤蚶・蛤魚・蛤蜆・蛤固・蛤骨・蛤子・蛤蜃・蛤蜥・蛤柱・蛤丁・蛤覇・蛤粉・蛤房・蛤蜊・蛤梨・蛤・蛤
[下接語]
花蛤・蝦蛤・海蛤・蚶蛤・山蛤・蜃蛤・文蛤・牡蛤・

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蛤」の解説

蛤 (ハマグリ)

学名:Meretrix lusoria
動物。マルスダレガイ科の二枚貝

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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