日本大百科全書(ニッポニカ) 「躁鬱の解剖」の意味・わかりやすい解説 躁鬱の解剖そううつのかいぼうThe Anatomy of Melancholy イギリスの神学者バートンの著。1621年刊。当時流行の鬱病に関し、病原、症状、治療を論じ、別に恋愛躁鬱症と宗教躁鬱症を扱った大著で、現代医学の視点からは分類のしようのない奇書。病原は神意から始まり、治療は「コーヒーというトルコの飲み物」の服用に終わるというような、自称「マカロニコン」(ごった煮)の書。論題は医学にとどまらず、政治、社会から人生百般にまで及ぶ。ルネサンス知識人の社会的関心を知るには絶好の百科全書的読み物。[斎藤美洲]『斎藤美洲訳『恋愛躁鬱症の解剖』(1964・桃源社)』 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例