日本大百科全書(ニッポニカ) 「車形文」の意味・わかりやすい解説
車形文
くるまがたもん
小車文(おぐるまもん)ともいう。黒地に黄糸、または黄地に黒糸でこの模様を織り出した錦(にしき)を車形錦、あるいは小車錦という。『日本書紀』巻25、孝徳(こうとく)天皇の大化(たいか)3年(647)の条に「其(そ)の大黒冠(おおきくろきこうぶり)には車形の錦を以(もっ)て、冠の縁(もとおり)に裁(たちい)れたり」とあるから、この模様の歴史はかなり古いことになる。もっとも当時の錦は中国製か、あるいはそれに倣ったものであるから、たぶんこの車形文も隋(ずい)の錦の模様にあったものと思われる。今日では伊勢外宮(いせげくう)に奉納されている車形錦がもっとも有名である。
[村元雄]
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