…このように,認容の有無によって故意と過失とを区別する一般的見解に対して,故意の成立要件として認容を不要とする説もあり,それによれば,〈認識ある過失〉というものはないことになる。(b)単純な過失(軽過失),重過失,業務上過失 重過失とは,過失の程度が著しい場合,いいかえれば,ごくわずかな注意をすれば過失が除去されたであろう場合である。業務上過失とは,業務として危険行為に携わる者の過失である。…
…民法の一般原則によれば,故意または過失ある場合には,他人に加えた損害を賠償しなければならない(民法709条)。しかし,失火により他人に損害を与えた場合にはこれが適用されず,失火者は,故意または重大な過失ある場合にのみ不法行為に基づく損害賠償責任を負担し,軽過失つまり通常の過失については責任を負わない。それは,日本では木造の家屋が多く,失火による損害が意外に膨大なものとなる危険性が大きく,この場合に民法の一般原則が適用されると,失火者は過大な責任を背負うことになる。…
※「軽過失」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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