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過失 かしつ negligence

翻訳|negligence

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

過失
かしつ
negligence

法律上,社会を不合理な危険から保護するために確立された行為基準を満たしえなかったことをいう。過失は,不法行為責任の基礎をなすものであり,ほとんどの人的損害ならびに物的損害に関する訴訟審理において登場する重要な要素である。

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デジタル大辞泉の解説

か‐しつ〔クワ‐〕【過失】

不注意などによって生じたしくじり。過ち。
法律用語。
私法上、一定の事実を認識することができるはずなのに、不注意で認識しないこと。
刑法上、行為者が不注意によって犯罪事実の発生を防止しなかった落ち度のある態度。⇔故意(こい)
欠点。
「―なき美人なりけり」〈盛衰記・一九〉

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百科事典マイペディアの解説

過失【かしつ】

(1)私法上は,注意をすれば一定の事実を認識し得たのに不注意で認識しない心理状態。故意に対する語。特に不法行為債務不履行の要件として重要。過失はその不注意の程度によって重過失と軽過失に分けられる。
→関連項目往来妨害罪過失傷害罪過失責任主義失火罪自動車損害賠償保障法損害賠償物上請求権未必の故意身元保証民事責任無過失責任

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とっさの日本語便利帳の解説

過失

刑法上は、行為者が不注意によって犯罪事実を認識・認容しないこと。過失犯の処罰は、法律に特別の規定がある場合に限られる。私法上は、一定の事実を認識できたのに、不注意で認識しないこと。民法では故意と過失を区別しないのが原則。

出典|(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」
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かんたん不動産用語解説の解説

過失

一定の事実を認識することができるにもかかわらず、注意を怠ったために認識しないこと。不注意の程度によって重過失と軽過失とに分けられる。

出典|(株)ネクストコーポレーション
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世界大百科事典 第2版の解説

かしつ【過失】

一定の結果の発生を認識すべきであったにもかかわらず,不注意にもこれを認識しなかったり,あるいは,一定の結果の発生を防止すべきであったにもかかわらず,不注意にもこれを防止しなかったことをいう。法律上,過失は法的不利益を課すための要件として機能する。
[民法上の過失]
 民法には過失が問題となる制度は少なくないが(動産の善意取得もその一つ),過失とは何か,という疑問が常に発せられて論議されてきたのはもっぱら不法行為にもとづく損害賠償請求権の要件としてであった。

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大辞林 第三版の解説

かしつ【過失】

不注意・怠慢などのためにおかした失敗。法的には、一定の事実を認識することができるにもかかわらず、注意を怠ったためにその事実を認識しないこと。不注意の程度によって重過失と軽過失とに分けられる。 ↔ 故意 「当方に-はない」
欠点。 「 -なき美人なりけり/盛衰記 19

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

過失
かしつ

一般に、結果発生の可能性がある場合、行為者が注意をすれば、この結果の発生を予見しえたのにもかかわらず、不注意によって認識しないこと(すなわち、注意すべきであるのに注意しなかったこと)を意味する。不注意とは、注意義務に違反することをいう。結果の発生を認識した場合の「故意」と区別される。法律用語としては、過失は故意と並ぶ責任の形式・要素であり、故意がないことが前提となる。[名和鐵郎]

刑法上の過失

刑法上の基本原則の一つである責任主義に基づき、犯罪が成立するためには、行為者に故意または過失が認められなければならず、不可抗力や無過失による行為は処罰できない。しかも、犯罪は原則として故意犯であり、過失は、法令により特別に処罰する旨の規定がなければ犯罪とはならない(刑法38条1項)。ただ、今日のように科学技術や産業の発達が目覚ましく、しかも社会が複雑化するのに伴い、たとえば交通事故、医療事故、企業災害など、反覆継続して行われる危険な活動については、過失犯、とくに業務上過失が重要な意味をもっている(なお、自動車運転上の過失による場合は、業務上であるか否かを問わず、刑法第211条2項の自動車運転過失致死傷罪として処罰される)。さらに行政刑法の領域では故意犯とともに過失犯が広く処罰されており、過失犯はまさに「現代型犯罪」の典型であるといえる。[名和鐵郎]
過失犯の成立要素
過失犯が成立するためには、故意犯とも共通する犯罪の一般的要件、たとえば実行行為、結果、因果関係など客観的要件を満たすことが必要である。そして、過失犯に固有の主観的要件は、消極的要件としては、故意が存在しないことであり、積極的要件としては、行為者に不注意、すなわち注意義務違反が認められなければならない。この注意義務違反こそ過失犯特有の中核的要件である。
 注意義務の要素として、一般的に、結果回避義務と結果予見義務の二つがあげられている。結果回避義務とは、結果発生の危険があり、しかもこの結果が回避できる場合に、結果発生を防止するための具体的措置(作為または不作為)を講じるべき義務をいう。また、結果予見義務とは、結果発生の危険がある場合に、この結果を予見すべき義務である。この義務は、結果発生が予見できることを前提とするから、その判断にあたって予見可能性が重要な意味をもつ。[名和鐵郎]
注意義務と新旧過失論争
注意義務における結果予見義務と結果回避義務のうち、いずれに重点を置くべきか、また、だれを基準として判断すべきかなどが活発に議論されてきた。「新旧過失論争」とよばれる対立がそれである。旧過失論は一般に、「過失は行為者の心理面に係る主観的要素(責任要素)であるから、あくまで結果予見義務およびその前提としての予見可能性(主観的注意義務)こそ注意義務の本質である」と説明する。これに対して新過失論は、「過失は行為者の主観面に係る責任要素にとどまらず、その前提として、まず社会生活において一般的に必要とされる注意義務(客観的注意義務)を尽くしたか否かがより重要であるから、構成要件または違法の要素としての結果回避義務が本質的である」と指摘する。
 しかし、今日では、いずれの立場においても、過失犯が成立するためには、故意犯の場合と同様に、客観的要素と主観的要素が必要であるから、一般的には注意義務の要素として結果回避義務と結果予見義務の両方が要求されている(ただ、これらの義務が、構成要件要素、違法要素、責任要素のいずれに属するかなどのいわゆる体系論の問題は残る)。
 そして、結果予見義務の前提としての結果予見可能性に関して、どのような事実に対して、どの程度の予見を要するかについても、新旧過失論争では大きな問題とされた。旧過失論では、結果予見義務を重視する立場から、当該行為者における具体的な予見可能性を要すると解されるが、新過失論では、結果回避義務が強調され、結果予見義務については必ずしも具体的予見可能性を要しないとされて、そのなかには不安感・危惧(きぐ)感で足りるとする見解さえみられる(このような見解は、「危惧感説」とか「新々過失論」とよばれる)。この点について、今日の判例では、因果経過の「基本的または重要な部分」について具体的な予見可能性があれば足りると解されており、学説においてもこのような見解を支持する者が多い。[名和鐵郎]
行政取締法規と刑事過失
過失犯の成立要素としての注意義務、とくに結果回避義務の存否を判断するにあたり、道路交通法のような行政取締法規は注意義務の根拠とはならない。たとえば、自動車を運転して通行人を死傷させた場合、速度超過違反によって刑法上の注意義務違反(過失犯)を肯定してよいわけではない。行政取締法規違反があったからといってただちに注意義務違反があったとはいえないし、逆に、行政取締法規を遵守していたからといって注意義務違反を免れうるわけではないのである。
 そこで、注意義務の存否は具体的事案に即して個別的に判断せざるをえないが、この判断にあたり「信頼の原則」という考え方がある。これは、もともと道路交通事件につき提唱されたものであり、交通関与者は相手方の適法・適切な行動を信頼することが許され、かりに相手方が不適法・不適切な行動に出たことにより結果が発生しても、行為者は刑法上の過失責任を負わない、というものである。この原則が適用されるためには、(1)行為者が相手方の適法・適切な行動を現に信頼していたこと(信頼の事実)、(2)行為者がそれを信頼することも相当と認められること(信頼の相当性)が必要である。この信頼の原則は車両対車両の関係では広く適用されうるが、車両対歩行者との関係では、今日の日本の道路事情のもとでは、その適用も慎重でなければならない。さらに、信頼の原則は、本来、対等な立場で危険を回避しうるし、またその責任を負うという関係を前提とするから、企業災害に対する監督過失のように監督者と被監督者といった上下関係にある場合には、この原則を一般的に適用することには疑問がある。前述したように、注意義務の存否は具体的事案に即して個別的に判断されるべきであるからである。[名和鐵郎]
過失の種類
過失には、次のようにいくつかの重要な分類がある。
(1)「認識のある過失」と「認識のない過失」 この点につき、未必の故意と認識のある過失とを犯罪事実に対する認容(容認)の有無により区別する認容説を前提とすれば、犯罪事実の認識はあるが、この認容がなければ「認識のある過失」であり、犯罪事実の認識がない場合が「認識のない過失」である。
(2)「業務上過失」と「自動車運転過失」 業務上過失とは、社会生活上、一定の法益を侵害する危険性のある活動を反覆・継続して行っている者が、そのような活動に要求される注意を怠った場合であり、これ以外の一般人が注意を怠った場合が通常の過失である。ここにいう「業務」とは仕事や職業とは無関係であるから、遊びのための行為もこれにあたり、また、適法・違法を問わないから、たとえば、無資格の医療行為の場合でも反覆・継続している限り、業務にあたる。
 かつては、自動車運転による死傷事故が、業務上過失事犯の典型であり、その大部分を占めていた。しかし、自動車運転による死傷事件が頻発し、大きな社会問題となるなかで、2007年(平成19)、刑法第211条2項として自動車運転過失致死傷罪が新設され、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」は業務上過失致死傷罪より重く処罰できることとなった(ただし、傷害が軽い場合には、情状により、その刑が免除されうる)。自動車(自動二輪車、原動機付自転車も含まれる)運転上の過失があれば足り、業務上過失の場合のように反覆または継続性を要しないから、初めての無免許運転の場合でも本罪にあたりうる。
 なお、現行法上「重過失」という概念があるが、これはわずかの注意を払えば結果発生を予見できたのに、この注意を欠いた場合をいう。[名和鐵郎]

民法上の過失

刑法と異なり、民法では一般に、帰責事由としては、故意、過失をほとんど同価値とみて区別しないのが原則である。このようなものとしての過失は、民法の種々の領域において、それぞれの法律効果を生ずる要件となっている。もっとも重要なものとして、不法行為責任成立要件としての過失(民法709条)、および債務不履行責任成立要件としての「責めに帰すべき事由」(債務者の故意、過失および信義則上それと同一視すべき事由)である。[淡路剛久]
抽象的過失・具体的過失
過失はその前提となる注意義務の性質により、抽象的過失と具体的過失とに区別される。抽象的過失とは、抽象的に一般人、普通人、標準人としてなすべき注意、すなわち「善良な管理者の注意」(民法400条、644条ほか)を欠いた場合をいう。ただし、ここにいう一般人、普通人、標準人とは、その人の属する社会的地位や職業などに応じて、それぞれの具体的事例において期待される抽象的合理人のことをさし、ただ単に抽象的一般人をいうのではない。不法行為責任要件としての過失は、まさにこのようなものとしての抽象的過失であるとされており、その意味で本来の過失責任主義は変容を受け、過失の客観化がなされている。そのほか、債務不履行でも原則として抽象的過失が過失の基準となる。
 具体的過失とは、その人の現実生活に応じた通常の注意、すなわち「自己の財産に対するのと同一の注意」(同法659条)、「自己のためにするのと同一の注意」(同法827条)、「固有財産におけるのと同一の注意」(同法918条ほか)、などを欠いた場合をいう。具体的過失を過失の基準とすることは、今日では例外となっており、無償受寄者(同法659条)、子の財産管理をなす親権者(同法827条)、承認・放棄未定の相続人(同法918条)にその例がみられる。[淡路剛久]
軽過失・重過失
過失は注意義務違反の程度に応じて、軽過失と重過失に区別される。軽過失は軽度の注意義務違反であり、重過失は重大な注意義務違反である。この区別は、前に述べた抽象的過失・具体的過失のそれぞれについてなされるから、過失は、理論上は抽象的軽過失、抽象的重過失、具体的軽過失、具体的重過失の四つに区分されることになる。しかし、具体的過失については軽過失だけが問題とされ、具体的重過失を要件とすることは、実際上見当たらない。不法行為責任成立要件としての過失は、(抽象的)軽過失を意味するものとされる。ただし失火責任の場合には、(抽象的)重過失が故意とともに要件とされ、軽過失の場合を除外している(失火ノ責任ニ関スル法律・明治32年法律第40号)。
 過失の立証責任は、不法行為の一般原則(民法709条)では被害者側にあるが、第714条以下のいわゆる特殊的不法行為では加害者に転換されている(講学上、中間的責任という)。債務不履行の場合、過失は推定され、債務者側が無過失の立証をしなければならない。[淡路剛久]

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世界大百科事典内の過失の言及

【過失責任主義】より

故意過失に基づいて他人に損害を与えた場合にのみ損害賠償責任を負うという民事責任上の法原則をいう。過失責任主義は,債務不履行責任についても認められるが(民法415条),通常,不法行為責任の法原則として理解される場合が多い(709条)。…

【過失相殺】より

…損害賠償の額を定めるにあたり,加害者に全面的に負担させるのではなく,被害者にも過失があればこれを斟酌して損害の公平な分担を図る制度をいう。不法行為だけでなく債務不履行にも適用されるが,交通事故のように事故の態様が定型化できる場合にはそれに対応した標準的な過失相殺率により事故処理がなされ,実務上も重要な役割を担う制度である。…

【不法行為】より

…不法行為はこの民事責任を生ぜしめる事実として観念される概念であり,法律の規定(民法709条)との関連において次のように定義される。すなわち不法行為とは,故意または過失によって他人の法上保護に値する利益を侵害して損害を生ぜしめる行為である。法律上は民法の第三編(債権)中に〈不法行為〉という節が置かれており,法典中の位置づけから不法行為は,契約事務管理および不当利得と並んで,債権の発生原因と解されている。…

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