ささいな注意を払えば違法な結果が避けられたにもかかわらず、この注意を怠ったこと。重大な過失ともいう。過失は注意義務違反を本質とするが、この注意義務違反の程度により、軽過失(軽微な過失)、通常の過失、重過失の3種類がある。日本の刑法は、たとえば、重過失致死傷罪(5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金。刑法211条1項後段)、重過失失火罪および重過失激発物破裂罪(両罪とも3年以下の禁錮または150万円以下の罰金。同法117条の2)を、通常の過失の場合より重く処罰している。その根拠として、重過失においては、不注意(注意義務違反)の程度が高いために、重い責任非難に値することとともに、客観的にも、行為そのものが犯罪的結果を発生させる可能性が大きいことがあげられる。なお、実定法上の「業務上過失」も、重大な過失の一種であるといえる。
[名和鐵郎]
…このように,認容の有無によって故意と過失とを区別する一般的見解に対して,故意の成立要件として認容を不要とする説もあり,それによれば,〈認識ある過失〉というものはないことになる。(b)単純な過失(軽過失),重過失,業務上過失 重過失とは,過失の程度が著しい場合,いいかえれば,ごくわずかな注意をすれば過失が除去されたであろう場合である。業務上過失とは,業務として危険行為に携わる者の過失である。…
…他方で,すでに失火者自身もまた損害をこうむっている。そうしたところから,失火責任法は失火者の責任を故意または重大な過失(重過失)ある場合に制限しているのである。ただし,同法は債務不履行には適用されないので,賃借人が失火で賃借家屋を焼失した場合には,当該家屋の所有者たる賃貸人は賃借人に対して,軽過失による場合でも,契約違反を理由にして損害賠償を請求できる。…
※「重過失」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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