日本大百科全書(ニッポニカ) 「農業家同盟」の意味・わかりやすい解説
農業家同盟
のうぎょうかどうめい
Bund der Landwirte ドイツ語
ドイツ第二帝政期の農業利益団体。カプリービ政府の工業優先の通商政策によって、農業保護関税が引き下げられたことに抗議して1893年結成された。ドイツ東部のユンカーなど大農業家の利害を反映しているが、広く中・小農民の組織に成功し、1913年には約33万の構成員をもつ大衆団体となった。ドイツ保守党と結んで、農業関税再引上げを実現させたほか、通商・経済政策のみならず、国内の政治改革阻止などの点でも影響力を振るい、第一次世界大戦中は強硬な併合論を唱えた。農民の組織化の際、反ユダヤ主義や排外的ナショナリズムを多用したことでも知られる。1921年、大戦後登場したドイツ農村同盟と合同し、全国農村同盟(土地同盟Reichsland bund)へと解消した。
[木村靖二]