日本大百科全書(ニッポニカ) 「金剛寺文書」の意味・わかりやすい解説
金剛寺文書
こんごうじもんじょ
大阪府河内長野(かわちながの)市の金剛寺の所蔵文書。中世文書を中心に平安時代から江戸時代にわたる約550余点の文書を残している。内容は、綸旨(りんじ)、公武御教書(みぎょうしょ)、印判(いんぱん)状、禁制(きんぜい)、印信(いんじん)、検地名寄(けんちみょうよせ)帳、寄進状、田地売券(ばいけん)などである。とくに南朝と関係の深い寺院のため、後醍醐(ごだいご)・後村上(ごむらかみ)天皇の綸旨をはじめ、護良親王の令旨(りょうじ)や楠木正成(くすのきまさしげ)の自筆書状がある。ほかに織田信長の黒印(こくいん)状や羽柴(はしば)(豊臣(とよとみ))秀吉の朱印(しゅいん)状も存在する。また文書以外に、『延喜式神名帳(えんぎしきしんめいちょう)』1巻(国宝)や平安時代以降の経疏(きょうしょ)類奥書など、貴重な史料が伝存されている。『大日本古文書 家わけ7 金剛寺文書』『河内長野市史 史料編』所収。
[大石雅章]