だい‐ご【醍醐】
[1] 〘名〙
①
仏語。
牛乳を精製して作った純粋
最上の味のもの。非常に濃厚な甘味で薬用などに用いる。また、如来の最上の教法にたとえる。
※三教指帰(797頃)下「無福之
徒、不論貴賤、不知辛臭、常沈蓼溷、已忘醍醐」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉四「醍醐の妙味を甞めて言詮の外に冷暖を自知するが如し」 〔北本
涅槃経‐一四〕
※声決書(1396)(古事類苑・宗教部四)「此時正二諸流声明一、即相応院、醍醐、進流是也」
[2]
[一] 京都市伏見区の東部にある
地名。
醍醐山の西側の麓一帯をいう。
醍醐寺、醍醐・朱雀天皇陵があり、奈良街道が通じる。
※平家(13C前)一二「醍醐の山にこもりたるよしきこえしかば、おしよせてさがせどもなし」
[二] 滋賀県浅井(あざい)町の地名。縄文中期の遺跡がある。
※今昔(1120頃か)一四「醍醐に僧有けり」
[補注]
牛乳を精製するにあたって発酵の段階により五つ(乳、
酪、生酥
(しょうそ)、熟酥、醍醐)に分け、それら五つの味を「
五味」という。後のものほど美味で、「醍醐」がその最高の味とされる。そこから「
醍醐味」という語も生まれた。
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醍醐
だいご
京都市伏見(ふしみ)区東部の一地区。旧醍醐村。山科(やましな)盆地南東部にあたり、醍醐山(454メートル)付近の上(かみ)醍醐と西麓(せいろく)の下醍醐に分かれる。真言宗醍醐派総本山の醍醐寺(世界文化遺産に登録)があり、寺域は上醍醐から下醍醐に及ぶ。応仁文明(おうにんぶんめい)の乱(1467~1477)には一山ほとんど灰燼(かいじん)に帰し、豊臣(とよとみ)秀吉によって再建された。五重塔は創建当時唯一の遺構で、京都市内最古の木造建物である。境内にはサクラが多く、秀吉は再興を祝して花見の宴を催したが、今日も4月には豊太閤花見行列(ほうたいこうはなみぎょうれつ)が行われる。市営地下鉄東西線醍醐駅がある。
[織田武雄]
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醍醐
だいご
maṇḍa
仏教用語。五味の一つ。牛乳を精製してつくったもので,最も美味とされ,病をなおす妙薬とされる。その意味から仏性や涅槃にたとえられる。
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醍醐【だいご】
京都市伏見区東部の一地区。山科盆地南部から醍醐山西麓一帯を占める。醍醐寺,法界寺の所在地として知られ,桜の名所。近年は住宅地化が著しい。
→関連項目京都[市]
醍醐【だいご】
仏説の五味(乳味・酸味・生酥(しょうそ)味・熟酥味・醍醐味)の一つ。牛または羊の乳を精製した濃厚液で,五味中最良の味とされる。
→関連項目チーズ
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醍醐
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だい‐ご【×醍×醐】
五味の第五。牛や羊の乳から精製した、最上の味のもの。仏の悟りや教えにもたとえる。
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