知恵蔵 「鋼の錬金術師」の解説
鋼の錬金術師
19世紀のヨーロッパをモチーフとした架空の世界を舞台に、幼い頃に最愛の母親を亡くした兄のエドワード・エルリックと弟のアルフォンス・エルリックの冒険と成長を描くストーリー。作中における「錬金術」とは、卑金属を貴金属に転換しようとする術のことではなく、既存の物体の形を変えたり、化学反応を起こしたりする術のこと。金属に限らず他の物質や、人間の肉体なども対象とするが、等価交換の法則に基づいて行わねばならない。
物語ではエルリック兄弟が「亡き母にもう一度会いたい」と、禁忌とされる人体錬成を行って失敗、エドワードは左足を、アルフォンスは全身を失ってしまう。そこで、エドワードは自身の右腕を代償にしてアルフォンスの魂を錬成して鎧に定着させることに成功し、一命を取り留めることができた。
身体と左足、右腕を失った状況の中、兄弟は「元の身体に戻る」という決意を抱き、旅に出る。その目的は、使用することで属性や等価交換の法則を無視した無制限な錬金が可能となる「賢者の石」を探すことだった。
コミックは単行本のほか、完全版が18巻発行、ガイドブックなどが刊行されている。テレビアニメはTBS、MBS系列で03年10月から04年9月まで「鋼の錬金術師」全51話、09年4月から10年7月まで「鋼の錬金術師FURUMETAL ALCHEMIST」64話が放映された。劇場版のアニメは05年7月に「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」、11年7月に「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」が全国公開された。
17年冬に実写版の映画が公開予定で、アイドルグループHey! Say! JUMPの山田涼介がエドワードを演じる。このほか、ディーン・フジオカ、本田翼、國村隼、石丸謙二郎、小日向文世、佐藤隆太、大泉洋、本郷奏多、内山信二、松雪泰子、蓮佛美沙子、夏菜などが出演予定。
(若林朋子 ライター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報