鋼の錬金術師(読み)はがねのれんきんじゅつし

知恵蔵 「鋼の錬金術師」の解説

鋼の錬金術師

荒川弘のマンガ作品。「月刊少年ガンガン」(エニックス 現:スクウェア・エニックス)に2001年8月号から10年7月号まで連載された(最終回が掲載された7月号は即座に完売したため、9月号に最終回が再掲載された)。単行本は全27巻が刊行され、全世界でシリーズ累計部数は7000万部を超える。マンガを原作に、テレビアニメ、アニメ映画、ゲーム、ノベライズ小説、ラジオドラマなどが制作された。略称は「ハガレン」など。主な受賞歴に、第49回小学館漫画賞(少年向け部門)、第15回手塚治虫文化賞新生賞、第42回星雲賞(コミック部門)などがある。
19世紀のヨーロッパをモチーフとした架空の世界を舞台に、幼い頃に最愛の母親を亡くした兄のエドワード・エルリックと弟のアルフォンス・エルリックの冒険と成長を描くストーリー。作中における「錬金術」とは、卑金属貴金属に転換しようとする術のことではなく、既存物体の形を変えたり、化学反応を起こしたりする術のこと。金属に限らず他の物質や、人間の肉体なども対象とするが、等価交換の法則に基づいて行わねばならない。
物語ではエルリック兄弟が「亡き母にもう一度会いたい」と、禁忌とされる人体錬成を行って失敗、エドワードは左足を、アルフォンスは全身を失ってしまう。そこで、エドワードは自身の右腕代償にしてアルフォンスの魂を錬成して鎧に定着させることに成功し、一命を取り留めることができた。
身体と左足、右腕を失った状況の中、兄弟は「元の身体に戻る」という決意を抱き、旅に出る。その目的は、使用することで属性や等価交換の法則を無視した無制限な錬金が可能となる「賢者の石」を探すことだった。
コミックは単行本のほか、完全版が18巻発行、ガイドブックなどが刊行されている。テレビアニメはTBS、MBS系列で03年10月から04年9月まで「鋼の錬金術師」全51話、09年4月から10年7月まで「鋼の錬金術師FURUMETAL ALCHEMIST」64話が放映された。劇場版のアニメは05年7月に「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」、11年7月に「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」が全国公開された。
17年冬に実写版の映画が公開予定で、アイドルグループHey! Say! JUMPの山田涼介がエドワードを演じる。このほか、ディーン・フジオカ、本田翼、國村隼、石丸謙二郎、小日向文世、佐藤隆太、大泉洋、本郷奏多、内山信二、松雪泰子、蓮佛美沙子、夏菜などが出演予定。

(若林朋子 ライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉プラス 「鋼の錬金術師」の解説

鋼の錬金術師

①荒川弘による漫画作品。錬金術が存在する世界を舞台としたファンタジー作品。『月刊少年ガンガン』2001年8月号~2010年7月号に連載。スクウェア・エニックス ガンガンコミックス全27巻。第49回(2003年度)小学館漫画賞 少年向け部門、第15回(2011年)手塚治虫文化賞 新生賞、第42回(2011年)星雲賞マンガ部門 コミック部門受賞。
②日本のテレビアニメ。放映は毎日放送、TBS系列(2003年10月~2004年10月)。制作:ボンズ。声の出演:朴ろ美(「ろ」は王へんに「路」)ほか。禁忌を犯して多くを失った錬金術師兄弟の旅を描く。①を原作とするが、展開の違うオリジナル作品。2004年、第9回アニメーション神戸賞作品賞(テレビ部門)受賞。同年、東京国際アニメフェアにてテレビ番組部門優秀作品賞受賞。2009年に原作に忠実な新作『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』が制作された。

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