日本大百科全書(ニッポニカ) 「関節鏡視下手術」の意味・わかりやすい解説
関節鏡視下手術
かんせつきょうしかしゅじゅつ
関節周囲の皮膚を大きく切開することなく、数か所の小さな穴を開けて内視鏡を直接挿入し、関節内部の様子をモニターに映し出して手術部位を観察しながら行う手術法。損傷部位の修復や、損傷組織の摘出あるいは関節遊離体の摘出などに用いられる。正常組織を傷つけることが少なく、また関節内に生理食塩水を注ぎながら行うことで感染症を起こしにくく、手術による傷あとも最小限ですみ、術後の痛みも少ない。短期入院あるいは日帰りでの手術が可能で、リハビリテーションを早期に始めることができ、早期に社会復帰できるという利点もある。
膝(しつ)関節の手術に多く用いられるが、肩関節ほか肘(ちゅう)関節、足関節などさまざまな関節の手術にも応用される。関節内に挿入する内視鏡の太さや長さは、治療対象となる関節によって異なる。
膝関節の鏡視下手術としては、半月板損傷に対する半月板切除術や半月板縫合術、前十字靭帯(じんたい)の損傷に対する前十字靭帯再建術などが行われる。肩関節の鏡視下手術としては、腱板(けんばん)断裂に対する腱板修復術、反復性肩関節脱臼(だっきゅう)に対する制動術などが行われる。
[編集部 2017年8月21日]