陥穴(読み)おとしあな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「陥穴」の意味・わかりやすい解説

陥穴
おとしあな

獣類を落としてとらえる目的で掘った穴。落し穴とも書き、陥穽(かんせい)ともいう。人間が動物をとらえるために考案した罠(わな)のなかでも陥穴はもっとも普遍的なもので、世界中で用いられた。対象もゾウキリンなどの大形動物からキツネイタチなどの小形動物にわたり、その体形習性にあわせていろいろな形につくられた。ただ深い穴を掘ったもの以外に、断面V字形の溝形につくって動物を挟み込むようにしたもの、底に逆茂木(さかもぎ)を立てて殺傷するものなどがくふうされ、上は木の枝や草などで覆われた。陥穴は、けもの道に仕掛けて動物が落ちるのを待っただけでなく、柵と交互に並べて追い込んでとらえるのにも用いられた。近年東日本の各地で縄文時代の陥穴とみられるものが多数発掘されているが、断面V字形の溝形や、底に棒を立てた跡の細い穴が多数残る楕円(だえん)形のものなどがあって、未開狩猟民の例と類似している。

[今村啓爾]

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