険し(読み)さがし

精選版 日本国語大辞典 「険し」の意味・読み・例文・類語

さがし【険・嶮】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙
  2. 山や坂がけわしい。平坦でない。険阻である。
    1. [初出の実例]「梯立(はしたて)の 倉梯山は 佐賀斯祁(サガシケ)ど 妹(いも)と登れば 佐賀斯玖(サガシク)もあらず」(出典:古事記(712)下・歌謡)
    2. 「さかしき山越えいでてぞ、おのおの馬には乗る」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  3. 危険なさまである。あぶない。
    1. [初出の実例]「女君いとさがしき事なりとて、笑ひ給ふ」(出典:落窪物語(10C後)二)

険しの語誌

( 1 )語源は、ネタム━ネタマシ、ヤス━ヤサシ、ユク━ユカシなどと同様に、動詞サグ(下・提)に由来する再活用語とする説がある。
( 2 )平安朝に派生した用法としてがあるが、「風急に波(ハケシ・サカシ)。水の黒こと墨の如し」〔観智院本唐大和上東征伝院政期点〕のように波の高いさまを形容する用法もある。

険しの派生語

さがし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

戒厳令

一般的には指定地域で、国の統治権の全部または一部を軍に移行し、市民の権利や自由を保障する法律の一部効力停止を宣告する命令。戦争や紛争、災害などで国の秩序や治安が極度に悪化した非常事態に発令され、日本...

戒厳令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android