改訂新版 世界大百科事典 「随伴微分作用素」の意味・わかりやすい解説
随伴微分作用素 (ずいはんびぶんさようそ)
adjoint differential operator
区間(a,b)においてr回連続微分可能な関数の全体をCrと書く。関数u∈Crに作用する微分作用素,
においてpk∈Ck(k=0,1,……,r)とする。これに対して,v∈Crに作用する微分作用素,
を考えると,u,v∈Crであってa,bの近くではu,vの少なくとも一方が恒等的に0となるならば,部分積分により,
が成立する。このような関係にある微分作用素D′をDの随伴微分作用素という。このとき(D′)′=Dであることも部分積分によってわかる。多変数の偏微分作用素についても同様である。n次元の領域Ωにおいてr回連続微分可能な関数の全体をCrとし,u∈C2に対して,
なる偏微分作用素Aを考える。ただしaij∈C2,ai∈C1とし,a0は連続関数とする。このとき,
とすると,u,v∈C2であってΩの境界の近くではu,vの少なくとも一方が恒等的に0ならば,部分積分によって(3)と同様な式,
が成立する。すなわちA′はAの随伴微分作用素である。この場合も1変数の場合と同様に(A′)′=Aなることが部分積分でわかる。とくに,についてはΔ′=Δである。
→微分作用素
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報