微分作用素(読み)ビブンサヨウソ(その他表記)differential operator

デジタル大辞泉 「微分作用素」の意味・読み・例文・類語

びぶん‐さようそ【微分作用素】

微分演算関数として定義された作用素。一階微分であればd/dxn階微分であればdn/dxnなどと書かれる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「微分作用素」の意味・わかりやすい解説

微分作用素 (びぶんさようそ)
differential operator

区間ab)で連続微分可能な関数fx)にその導関数f′(x)を対応させることを考える。また,区間(ab)で連続な関数px),qx)が与えられたとき,この区間で2回連続微分可能な関数fx)にf″(x)+pxf′(x)+qxfx)を対応させることを考える。これらの例のように,関数から関数への対応fDfがあって,関数Dfの点xにおける値(Df)(x)がfおよびその有限個の導関数のxにおける値によって定まるとき,Dを微分作用素という。上の二つの例は,それぞれ,と表される。1変数の微分作用素は一般に,

の形に書かれる。ここでpkx)(k=0,1,……,r)は区間(ab)において与えられた連続関数である。多変数の関数に対する微分作用素も同様に考えられる。例えばn次元空間の中の領域Ωで連続な関数aijx),aix)(ij=1,……,n)およびa0x)が与えられたとする。このとき,Ωで2回連続微分可能な関数ux)に対し,

なるAは微分作用素であって,この場合は偏微分作用素とも呼ばれる。とくに偏微分作用素は重要で,ラプラシアンLaplacian,またはラプラス作用素と呼ばれる。関数解析学では,考察する関数空間を定めて,微分作用素を関数空間から関数空間への写像として取り扱う。例えばn次元の有界領域Ω閉包Ωにおいて連続なr階偏導関数をもつ関数の全体をCrとする(C0Ω上の連続関数の全体とする)とき,(2)においてaijaia0Ωで連続ならば,(2)の微分作用素Aは関数空間C2からC0への作用素である。またΩが一次元の区間(ab)のとき,(1)においてpkx)(k=0,1,……,r)が閉区間ab]で連続ならば,(1)の微分作用素DCrからC0への作用素である。
関数解析学
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