隠元薬缶(読み)いんげんやかん

精選版 日本国語大辞典 「隠元薬缶」の意味・読み・例文・類語

いんげん‐やかん‥ヤクヮン【隠元薬缶・隠元薬鑵】

  1. 〘 名詞 〙 缶子(かんす)のふたをはずし、その上へ薬缶を重ねたもの。缶子の湯気で、上の薬缶の湯をわかす。ゆげやかん
    1. [初出の実例]「隠元薬鑵(インゲンヤクヮン)相伝ふ。隠元禅師形をこのみて作らしめ、常に炉におかれけると也」(出典随筆・本朝世事談綺(1733)二)

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世界大百科事典(旧版)内の隠元薬缶の言及

【やかん(薬缶)】より

…《物類称呼》によると,大坂および中国,四国ではこれを〈ちゃびん〉,遠江(とおとうみ)では〈とうびん〉,信濃では〈てどり〉といい,土佐では形が大きくて口の短いものを〈やっくゎん〉,丸くて口の長いものを〈ちゃびん〉といったが,江戸ではいろいろな形のものもすべて〈やくはん〉といったとある。明和・安永(1764‐81)のころ,新形の隠元(いんげん)やかんというのが流行したが,これは銅で口を長く作り出したもので,隠元が日本へ帰化したとき,持って渡ったものにならったといい伝えている。一方,1849年(嘉永2)印行の古風と流行とを対比した番付によると,古風のほうに黄銅で雲竜などの形を打ち出した広島やかんが掲げられている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」