…《物類称呼》によると,大坂および中国,四国ではこれを〈ちゃびん〉,遠江(とおとうみ)では〈とうびん〉,信濃では〈てどり〉といい,土佐では形が大きくて口の短いものを〈やっくゎん〉,丸くて口の長いものを〈ちゃびん〉といったが,江戸ではいろいろな形のものもすべて〈やくはん〉といったとある。明和・安永(1764‐81)のころ,新形の隠元(いんげん)やかんというのが流行したが,これは銅で口を長く作り出したもので,隠元が日本へ帰化したとき,持って渡ったものにならったといい伝えている。一方,1849年(嘉永2)印行の古風と流行とを対比した番付によると,古風のほうに黄銅で雲竜などの形を打ち出した広島やかんが掲げられている。…
※「隠元薬缶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」