日本大百科全書(ニッポニカ) 「雖井蛙流」の意味・わかりやすい解説
雖井蛙流
せいありゅう
近世剣術の一流派。因州鳥取(いんしゅうとっとり)藩の剣術の主流で、流祖は同藩士の深尾角馬重義(ふかおかくましげよし)(1631―82)。角馬は初名を河田喜六(かわだきろく)といい、幼少より剣術を好み、父河田理右衛門について丹石(たんせき)流を修めたが、のち去水(きょすい)、東軍(とうぐん)、卜伝(ぼくでん)、陰(かげ)、富田(とだ)などの諸流を学び、これらの技法を組み入れて太刀数(たちかず)を増やし、甲冑(かっちゅう)剣術から素肌(すはだ)剣術に改編し、自分の号の井蛙(せいあ)にちなみ、また士が日常に稽古(けいこ)すべき法という意味を加えて、雖井蛙流平法(せいありゅうへいほう)と称した。
[渡邉一郎]