改訂新版 世界大百科事典 「霊山深山」の意味・わかりやすい解説
霊山深山 (りょうぜんみやま)
今様(いまよう)の曲名。祝言の内容をもつ曲で,歌詞は〈霊山深山の ヤ 五ゑうまつ ヤ ちく葉なりとぞ ひとはいふ われもみる ヤ ちく葉なりとも をりもてこ ム ねやのかざしに ヤ まろささん〉。七五調4句を基本とするが,3句目に破律文がある。ところどころにム・ヤのはやしことばの類が挿入されている。《綾小路俊量卿記(あやのこうじとしかずきようのき)》と《朗詠九十首抄》に曲譜がある。《御遊抄》清暑堂の項,安徳天皇寿永1年(1182)の条に,資時朝臣の歌った今様として,〈霊山御山 ツルノムレイル 月ノサヤカニ〉の曲目を挙げている。御遊のときに,催馬楽(さいばら)や朗詠と並んで歌われた。
執筆者:蒲生 美津子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報