ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
催馬楽
さいばら
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平安時代の歌謡。もと風俗歌であった歌謡を、外来音楽である唐楽(とうがく)風に編曲して歌ったもの。おもに宮廷貴族の祝宴、遊宴の場で、大和笛(やまとぶえ)、和琴(わごん)、琵琶(びわ)などの伴奏で、笏拍子(しゃくびょうし)を打ちながら歌われた。旋律の違いで、律(りつ)・呂(りょ)の二つに分類される。文献上の初見例は、『三代実録』貞観(じょうがん)元年(859)10月23日のくだりに、薨去(こうきょ)された尚侍広井(ないしのかみひろい)女王が催馬楽歌をよくされたとあるものであるが、その20~30年前の仁明(にんみょう)天皇のころが催馬楽流行の一頂点であったらしい。『源氏物語』の巻名にも「梅枝(うめがえ)」「総角(あげまき)」「東屋(あずまや)」などの催馬楽の曲名がみえている。催馬楽の名義については、諸国から貢物を大蔵省に納める際、貢物を負わせた馬を駆り催すために口ずさんだ歌であったからとする説、神楽(かぐら)歌の前張(さいばり)の拍子で歌ったからとする説、唐楽の『催馬楽(さいばらく)』の曲調で歌ったからとする説、譜本の律旋冒頭にある『我が駒(こま)』の歌詞「いで我が駒早く行きこそ」によったとする説など諸説あるが、確かなところは不明である。
内容は多様だが、民衆の生活感情、とくに男女の恋愛を歌ったものが多い。一方で、大嘗祭(おおにえのまつり)の風俗歌、新年の賀歌などもみいだされる。その内容からみて、奈良時代の末から平安時代の初めにかけて発達、完成したものらしい。歌謡の形式は多く不整形だが、『あな尊と』『梅が枝』など短歌形式に還元されるものも少なくない。平安中期に源家(げんけ)、藤(とう)家の2流が生じて催馬楽を伝え、律旋は『我が駒』『沢田川』など25首、呂旋は『あな尊と』『新しき年』など36首、計61首が残されている(ほかに『簾中抄(れんちゅうしょう)』には、律旋2曲、呂旋4曲の名をあげている)。
催馬楽は宮廷芸能として長く続いたが、室町時代にはほとんど廃絶した。しかし、1626年(寛永3)後水尾(ごみずのお)天皇の勅令により『伊勢海(いせのうみ)』が再興されたのを最初に順次再興され、1876年(明治9)宮内庁楽部の選定曲として『安名尊(あなとうと)』『山城(やましろ)』『席田(むしろだ)』『蓑山(みのやま)』『伊勢海』『更衣(ころもがえ)』の6曲が、さらに1931年(昭和6)には『美作(みまさか)』『田中井戸(たなかのいど)』『大芹(おおせり)』『老鼠(おいねずみ)』の4曲が再興されて加えられた。現行曲は宮内庁の雅楽公演などで、管絃(かんげん)の唐楽演奏の合間に演奏されることがある。
[多田一臣]
『土橋寛・小西甚一校注『日本古典文学大系3 古代歌謡集』(1957・岩波書店)』▽『山井基清著『催馬楽訳譜』(1966・岩波書店)』
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出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…上演の日時に規定があり,一部の遊宴,娯楽的なものを除き,原則として公開されないことも祭式芸能の特徴である。(3)の平安時代の新声楽には〈催馬楽(さいばら)〉と〈朗詠〉とがあり,前者は民間歌謡を起源とする歌詞を唐楽・高麗楽的な節まわしで歌い,後者は漢詩を吟詠するもので,ともに主として唐楽系の楽器を用いる。
【楽器】
管楽器,弦楽器,打楽器の3種は,それぞれ奏法によって,〈吹きもの〉〈弾きもの〉〈打ちもの〉とよばれる(表1)。…
…このために9世紀半ば,仁明天皇のころから約半世紀にわたって,いわゆる楽制改革が行われた。この運動の一環として,外国音楽の様式に日本の歌詞をはめこんだ催馬楽(さいばら),さらにそれが日本的になった朗詠の2種の新声楽が生まれた。また,宮中の祭祀楽も御神楽(みかぐら)として,その形態が整えられ,雅楽の中に含まれるようになった。…
…ユリはまた,一つの分野の中でも,何通りもの唱法,奏法に細分されたり,ほかの技法と結合したりするので,旋律そのものと,それらの名称との相関関係は,いっそう複雑になる。 雅楽では,ユリの語をあまり多用しないが,管楽器に由(ゆる)があり催馬楽(さいばら)に容由(ようゆ∥ようゆう)がある。この容由は,入節(いりぶし)との区別がややあいまいである。…
※「催馬楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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