内科学 第10版 の解説
非膵島細胞腫による低血糖症(異所性ホルモン産生腫瘍)
疫学
インスリノーマ以外の非膵島細胞腫で空腹時低血糖を伴うことが知られている.原因腫瘍として巨大な線維肉腫,中皮腫,神経線維肉腫などの巨大間葉系腫瘍や肝細胞癌などがある.
病因・病態
本症の一部は,低血糖の発症因子としてインスリン様成長因子-Ⅱ(IGF-Ⅱ)が関連している.巨大腫瘍によるグルコース利用の増加も低血糖の一因である.
臨床症状・検査成績・診断
空腹時低血糖症状が主体である.インスリノーマの否定のため,低血糖時に血中インスリン値が抑制されていることを確認する.IGF-Ⅰ,IGF結合蛋白-3,GHは抑制されている.インスリン様作用による低カリウム血症がみられる.血中IGF-Ⅱは正常人で検出される分子量(7.5 kDa)よりも大分子型が検出される(11~18 kDa)ことが多い.
治療
腫瘍の摘出術や化学療法を施行する.低血糖にはグルコース,グルカゴン,糖質ステロイドなどを投与する.[中里雅光]
■文献
Brownlee M, Aiello LP, et al: Complications of Diabetes Mellitus. In: Williams Textbook of Endocrinology, 12th ed (Melmed S, Polonsky KS, et al), pp1462-1551, Saunders, Philadelphia, 2011.
Gagel RF: Endocrine manifestations of tumors: ectopic hormone production. In: Cecil Textbook of Medicine, 23rd ed, pp1047-1050, WB Saunders, Philadelphia, 2009.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報