願流(読み)がんりゅう

精選版 日本国語大辞典 「願流」の意味・読み・例文・類語

がん‐りゅうグヮンリウ【願流・眼ガン流】

  1. 〘 名詞 〙 剣術の一流派。江戸初期、常陸国鹿島の人、松林左馬助願立(無雲とも)がはじめたもの。無雲流。〔武術流祖録(1843)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「願流」の意味・わかりやすい解説

願流
がんりゅう

近世剣術の一流派。流祖は松林左馬之助永吉(まつばやしさまのすけながよし)(1593―1667)。願立(がんりゅう)流、松林願立夢想流、無雲流ともいう。左馬之助は信州松代(まつしろ)の在、東条村(長野市内)の生まれで(一説に常州鹿島(かしま))、別名を西村四左衛門といい、14歳のころから剣術に志し、鹿島の新当(しんとう)流や夢想権之助(むそうごんのすけ)の夢想流などの諸流を学び、回国修行のすえ、精妙の術を自得して願流(立)と称した。初め関東代官伊奈(いな)半十郎忠治(ただはる)に仕えたが、1643年(寛永20)その剣名を伝え聞いた仙台侯伊達忠宗(だてただむね)に招かれ、采地(さいち)30貫文のち300石を給された。1651年(慶安4)正月、60歳のとき、門人跡部(あとべ)七左衛門を伴って将軍家光(いえみつ)の上覧に供し、「技の軽妙なること蝙蝠(こうもり)のごとし」と賞され、時服3を賜った。これにより蝙也斎(へんやさい)を称し、のち入道して無雲と号した。また手裏剣の技に優れ、不殺剣を始めた上遠野伊豆常秀(かどのいずつねひで)もその門人であった。寛文(かんぶん)7年2月仙台で没す。行年75、荘厳寺に葬られた。

[渡邉一郎]

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