法則の辞典 「高木‐トーパンの式」の解説
高木‐トーパンの式【Takagi-Taupin equation】
結晶内にX線や電子線が入射したとき,多くの回折波が生じるために,それらを含めた波の波動関数は振幅変調を受けた多数の波の重畳したものとして
ψ(r)=∑ψh(r)exp(2πikh・r)
のようになる.kh は波動ベクトルであり,ψh(r) は振幅と位相を表す複素振幅である(ここまではトーパン(D. Taupin)がこれより先に導出していた).一次波 ψ0 と,一つの回折波 ψh 以外の影響を無視できれば次のような連立微分方程式が得られる.これを「高木‐トーパンの式」という.
ここで s0,sh はそれぞれ両波の進行方向にとった斜行座標,κ は波数,C はX線の場合には偏極因子,電子線の場合には1である.β は入射波のブラッグ条件*からの偏倚を表す係数,χ(-h),χ(h)は散乱ポテンシャルのフーリエ項を表す.完全結晶であれば,β,χ(-h),χ(h) は定数である.