高禖(読み)こうばい(英語表記)Gāo méi

改訂新版 世界大百科事典 「高禖」の意味・わかりやすい解説

高禖 (こうばい)
Gāo méi

中国古代の求子儀礼に祀(まつ)られる神。《礼記(らいき)》月令(がつりよう)に,仲春の月,玄鳥(燕)が至るとき,大牢(牛,羊,豕)を供えて高禖を祀り,天子と後宮夫人とがその前で弓矢を授受する儀礼をしるす。その起源は殷の始祖説話に,簡狄(かんてき)が玄鳥の卵を飲んで妊(はら)み,契(せつ)を生んだのでこれを祀ったという。周の后稷(こうしよく)の母姜嫄(きようげん)にも,巨人の足あとを践(ふ)んで妊んだという感生帝説話がある。玄鳥説話は《詩》商頌,閟宮(ひきゆう)にも歌われており,その閟宮は禖宮ともよばれる。《漢書》戻太子(れいたいし)伝に求子のために禖宮を立てることがみえ,また民間では,時期を定めて男女を会し,私奔(しほん)を禁じないことが,《周礼(しゆらい)》禖氏にみえる。某は神に祈り謀ることを意味する字で,求子の礼を禖といい,男女を合するを媒という。禖神の起源を,啓母石の信仰や女媧(じよか)伝説にまで遡(さかのぼ)って考える説もあるが,地域的に多様な信仰があったと考えてよい。高禖を郊に祀るので,また郊禖ともいう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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