知恵蔵 「鯨偶蹄類」の解説 鯨偶蹄類(くじらぐうているい) クジラの祖先はメソニクス科(無肉歯目)か偶蹄目かという起源の問題は久しく論争されてきた。原鯨類では歯がメソニクス科に類似することなどで類縁関係が示唆されていた。ところが、2001年秋にパキスタンからロドケタスとアルチオケタスが発掘記載され、足首の距骨の形態は偶蹄類のものであった。偶蹄類では走る時に足首が横に動かぬように、すねとかかとの骨をつなぐ2つの関節面がそれぞれ滑車のようになっている。その後発掘されたパキケタスとイクチオレステスの距骨も滑車型であった。分子生物学の抗原・抗体反応法やサイン法によって偶蹄類説が主張されている。このようにして、近年では、クジラ目と偶蹄目を同じグループにまとめた鯨偶蹄類が提案されている。 (小畠郁生 国立科学博物館名誉館員 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by