世界大百科事典(旧版)内のEirēnēの言及
【ホーライ】より
…単数ではホーラHōraといい,英語hour(〈時間〉)の語源。ヘシオドスの《神統記》によれば,ゼウスとテミス(〈掟〉)を両親とするエウノミアEunomia(〈秩序〉),ディケDikē(〈正義〉),エイレネEirēnē(〈平和〉)の3女神とされるが,一般には季節の移り変りとともに訪れて,植物を生長させ,花を咲かせる女神たちと考えられ,アッティカ地方ではアウクソAuxō(〈成長〉),タロThallō(〈花盛り〉),カルポKarpō(〈実り〉)と呼ばれた。その後ヘレニズム時代になると,春夏秋冬の四季(もともと一年は春夏冬の三季に分けられたが,前5世紀中ごろより〈秋〉の語が使われ出す)そのものもホーライと呼ばれるようになり,美術作品ではそれぞれの季節を象徴する持物とともに表現された。…
【ローマの平和】より
…ローマ時代に樹立された地中海世界の平和を〈パクス・ローマーナ〉,すなわち〈ローマの平和〉と呼ぶ。パクスとは平和を意味するギリシア語エイレネeirēnēのラテン語訳で,それを擬人化した女神エイレネは遅くも前4世紀前半にはアテナイで祭祀を受けていた。ローマではアウグストゥスの時代に初めて礼拝されるようになる。…
※「Eirēnē」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」