日本大百科全書(ニッポニカ) 「サント・ジュヌビエーブ」の意味・わかりやすい解説
サント・ジュヌビエーブ
さんとじゅぬびえーぶ
Sainte-Geneviève
(422?―502)
フランス、パリの守護聖女。聖ジュヌビエーブ。ナンテールに生まれ、羊飼いをしていたが、オーセルの司教聖ジェルマンSaint German d'Auxerre(378?―448)に導かれてカトリックに入信。両親の死後パリに出たが、451年、フンの王アッティラ来襲のとき、恐怖におののく市民を鼓舞し、自らは断食して祈り、パリを有史以来の苦難から救った。この奇跡はやがてゴール地方全域に伝えられ、救国の英雄として崇(あが)められるようになり、9世紀末ごろから守護聖女と仰がれるようになった。ソルボンヌ大学のあたりは「サント・ジュヌビエーブの丘」とよばれ、彼女を祀(まつ)るサント・ジュヌビエーブ聖堂があったが、18世紀に改築されてパンテオンとなった。聖女は現在ではサンテティエンヌ・デュ・モン聖堂に祀られている。
[榊原晃三 2017年11月17日]
『P・ガクソット著、林田遼右・下野義朗訳『フランス人の歴史 1』(1972・みすず書房)』▽『田辺保著『フランスこころの旅』(1983・日本基督教団出版局)』