英雄(読み)エイユウ

デジタル大辞泉 「英雄」の意味・読み・例文・類語

えい‐ゆう【英雄】

才知・武勇にすぐれ、常人にできないことを成し遂げた人。「英雄を気取る」「国民的英雄
英雄家えいゆうけ」の略。
「花族も―もおもてをむかへ肩をならぶる人なし」〈平家・一〉
[補説]曲名別項。→英雄
[類語]ヒーロー老雄群雄奸雄両雄風雲児偉人巨星巨人英傑傑物傑士傑人人傑俊傑怪傑大人物逸材大物女傑大器

えいゆう【英雄】[曲名]

《原題、〈イタリアSinfonia Eroicaベートーベン作曲の交響曲第3番の通称。1804年完成。初め英雄ナポレオンに捧げようとしたところから、この名がある。エロイカ

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精選版 日本国語大辞典 「英雄」の意味・読み・例文・類語

えい‐ゆう【英雄】

  1. [ 1 ]
    1. 知力や才能、または胆力、武勇などに特にすぐれていること。また、その人。
      1. [初出の実例]「相公本是道英雄、材翰森然文亦工」(出典:本朝麗藻(1010か)下・感勘解藤相公賢郎茂才蒙課試之綸旨聊呈鄙懐〈源孝道〉)
      2. 「その弊邑に習うて上邦を視ざるものは、いまだ英雄の躔(やど)れる所を知らず〈左思〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)下)
      3. [その他の文献]〔漢書‐叙伝上〕
    2. えいゆうけ(英雄家)」の略。
      1. [初出の実例]「払暁、定能卿問送云、可三衣筥并金銀幣等之云々、〈件等、大将可其替也、先例撰英雄之人云々、今此卿当其仁幸人、依他人也〉」(出典:玉葉和歌集‐文治元年(1185)一〇月一五日)
  2. [ 2 ] ベートーベン作曲の交響曲第三番(変ホ長調)の副題。一八〇四年完成。エロイカ。英雄交響曲。

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普及版 字通 「英雄」の読み・字形・画数・意味

【英雄】えいゆう

英傑。〔三国志、蜀、先主伝〕曹(操)從容として、先劉備)に謂ひて曰く、今天下雄、唯だ君と操とのみと。~先方(まさ)にし、匕(ひちよ)を失す。

字通「英」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「英雄」の意味・わかりやすい解説

英雄【えいゆう】

ベートーベンの交響曲第3番変ホ長調。ナポレオンに捧げるつもりで書き進めたが,彼の皇帝就任とともに予定を変更し,副題は単にエロイカEroica(英雄)とのみ記入された。1804年に完成し,作曲者の指揮によりウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で翌年初演。ベートーベンの中期の幕開けを告げる作品となった。
→関連項目行進曲

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「英雄」の解説

えいゆう【英雄】

秋田の日本酒。酒名は「天下に名をあげる者は英雄であり、『英雄』を飲み干す者は英雄に勝るものである」という意味を込めて命名大吟醸酒純米吟醸酒純米酒など。原料米は美山錦秋田酒こまちなど。仕込み水は雄物(おもの)川の伏流水蔵元の「森川酒造店」は宝暦4年(1754)創業。現在は廃業。蔵は秋田市新屋表町にあった。

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デジタル大辞泉プラス 「英雄」の解説

英雄〔曲名:ベートーヴェン〕

ドイツの作曲家L・v・ベートーヴェンの交響曲第3番(1803-1804)。原題《Eroica》。『エロイカ』とも呼ばれる。ナポレオンへの共感から作曲されたが、皇帝即位の知らせに幻滅し、献呈を取りやめたという逸話が残っている。

英雄〔曲名:ショパン〕

ポーランド生まれの作曲家フレデリック・ショパンのピアノによるポロネーズ第6番(1842)。原題《Héroïque》。『英雄ポロネーズ』とも呼ばれる。

英雄〔小説〕

英国の作家ブライアン・フリーマントルのサスペンス小説(1994)。原題《No Time for Heroes》。「カウリー&ダニーロフ」シリーズ。

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世界大百科事典(旧版)内の英雄の言及

【冒険小説】より

…文学ジャンルの一つで,未知に向かっての冒険を行う英雄を主人公とする物語。未知への冒険は人間の基本的衝動の一つであり,それを成し遂げる英雄への崇拝とあこがれも人間本能の一つであるから,小説という文学形式が確立する以前から,冒険を主題とする文学作品は多くあった。…

【交響曲】より

… ベートーベンの9曲(1800‐24)はいずれもそれぞれに特有の問題意識をはらんでいる。スケルツォを導入した《第2番》(1802),特に展開部やコーダにおける形式的規模の飛躍的拡大,多種多様な動機による展開労作と変奏技法,そして雄大な構想,これらが曲に記念碑的な風格を与えている第3番《英雄》(1804),冒頭動機による全楽章の統一,楽章間の有機的な連係と頂点を終楽章に置いた設計,本来教会や劇場専用の楽器であったトロンボーンの導入等々,革新的な要素の多い第5番《運命》(1808),あるいは標題性をはらんだ全5楽章(3~5は連続)の第6番《田園》(1808),そして終楽章で独唱と合唱を登場させて時代の精神的理想をうたいあげ,さらに打楽器群を効果的に使用した《第9番(合唱付)》(1824)など,革命期の新しい市民層の意識を背景とした作品群がある。特に絶対音楽的性格と標題音楽的性格,単一動機による全曲の統一,新しい楽器と声部の導入などは,以後の交響的作品に決定的な影響を及ぼした。…

【ベートーベン】より

…一般に《第1交響曲》《第2交響曲》作品36(1802)はハイドンやモーツァルトの影響下にあるという評価が強調されがちであるが,これら2作品にも,のちの独創的才能の芽生えをみることができる。交響曲史上前人未到の大形式を打ち立て,独創性を十分に発揮するのは確かに《第3番・英雄交響曲(エロイカ)》作品55(1804)からであるが,すでにこの時点で作品番号をもつ全32曲のピアノ・ソナタのうち22曲まで作曲しており,ソナタ(様式)における種々の革新が多くの傑作(《悲愴ソナタ》作品13,1798,幻想曲風ソナタ《月光》作品27の2,1801,《田園ソナタ》作品28,1801,《テンペスト》作品31の2,1803,《ワルトシュタイン》作品53,1804)で実を結んでいたのである。 そうした経験をオーケストラ作品に生かし始めたのが《英雄交響曲》なのである。…

※「英雄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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