チロリ(英語表記)Glycera chirori

改訂新版 世界大百科事典 「チロリ」の意味・わかりやすい解説

チロリ
Glycera chirori

多毛綱チロリ科の環形動物。ゴカイの仲間で,餌をとるときに吻(ふん)を瞬間的に長くだすのでベロダシとも呼ばれる。日本各地の海岸に分布し,潮間帯の砂や泥の中にすみ,活発に運動する。体長10cm内外で,ほぼ円筒形であるが,頭部と尾部は細くなる。環節数170~200。頭部は円錐形で,先端に4本の小さい感触手がある。各体節にはいぼ足があり,剛毛を生じている。いぼ足の前部中央部に単糸状のえらがあるが,これを体内から出したり入れたりできる。血管がなく,体腔内に血球を含んだ体液をみたしているので,体全体が紅色になっている。チヌ,ベラ,タイなどの釣餌に用いられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チロリ」の意味・わかりやすい解説

チロリ
Glycera chirori

環形動物門多毛綱サシバゴカイ目チロリ科。餌をとるときに吻を長く出すのでベロダシとも呼ばれる。体長 10cm内外。環節数 170~200。体は円筒状であるが,前後両端部は細くなる。頭部は円錐形で,先端に4本の短い感触手がある。各環節にある疣足 (いぼあし) の前面中央から糸状の鰓を出したり引込めたりする。体内に血管がなく,体腔内は血球を含んだ体液で満たされているため,体全体が紅色を呈する。チヌ,ベラ,タイなどの釣餌に用いられる。潮間帯の砂泥中にすみ,活発に運動する。日本各地の海岸に分布する。

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