環形動物の運動器官。多毛類のうちゴカイ,イソメ,イトメなど匍匐(ほふく)性または遊泳性の種類に広くみられる。これらの動物が前進する際には各いぼ足を他の動物の脚のようにそれぞれ前後に動かす。いぼ足を後方へ動かすときにはそのいぼ足は伸長して地面に接して体を支えており,一方いぼ足を前方へ動かすときにはそれらは収縮しており,また地面からは浮き上がっている。これらのいぼ足の運動は規則正しく行われ,一つの体節の左右のいぼ足は交互に運動する。ある一つのいぼ足が運動したわずか後にその一つ前の体節の同じ側のいぼ足が運動する。このようにしていぼ足の運動の波が体の縦軸に沿って前の方へと進む。しかし実際には,とくに遊泳の場合などは,いぼ足運動よりも,体の縦走筋の収縮波によって体の前進が行われることが多い。
いぼ足は体壁が側方に膨出したもので,原則として各体節に1対ずつ存在する。その発達の程度や形態はさまざまであるが,一般に背腹の2枝からなり,それらはさらに背腹の2小枝に分かれている。いぼ足内には血管が密に分布しており,おもにここで呼吸が行われている。背枝の背側および腹枝の腹側には葉状・糸状などの突起物がみられ,これらは本来は感覚器官と考えられるが,遊泳のための鰭(ひれ)の役目をするもの,鰓(えら)の役目を果たしているもの,また鱗状となって体の背面をおおっているものなどもある。いぼ足の各小枝の先端は陥入して剛毛囊を形成し,そこから剛毛の束が外方に突出している。有爪(ゆうそう)類(カギムシ),緩歩類(クマムシ),舌虫類(シタムシ)などの側節足動物にみられる体節的構造の脚もいぼ足とよばれることがある。
執筆者:山田 真弓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…体節の数は大部分は個体の大きさによって変わるが,多毛類のカサネシリスは16節と定まっており,またヒル類では個体の大小,種類に関係なく34体節と決まっている。各体節の両側に多毛類ではいぼ足があり,それより多くの剛毛が生えているが,貧毛類ではいぼ足がなく,体壁から直接少数の剛毛が生えている。ヒル類ではこれらの剛毛もなくなり,吸盤が体の前後の腹面にある。…
※「疣足」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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