ネズミクイ(英語表記)mulgara
Dasycercus cristicauda

改訂新版 世界大百科事典 「ネズミクイ」の意味・わかりやすい解説

ネズミクイ (鼠喰)
mulgara
Dasycercus cristicauda

一見ネズミに似るが,体のつくりががっしりしていて,四肢が短く,吻(ふん)が長くとがり,尾の先半分の上面に長い黒色の房毛(ふさげ)がある有袋目フクロネコ科の小哺乳類。毛は細く柔らかく,茶ねずみ色ないし赤褐色。目の周囲に白のふちどりがある。育児囊は,横にのびる皮膚のひだ程度で,発達が悪い。体長13~14.8cm,尾長8.5~13cm,体重150g前後。オーストラリア南部と中央部の砂漠地帯に巣穴を掘ってすむ。昼夜ともに活動し,日中の暑さにも強く,砂丘に寝そべって日光浴することがある。肉食性で,トカゲ,ネズミ,小鳥などの小動物の首筋にかみついて捕食するほか,昆虫,サソリなどを襲って食べる。雌は,妊娠期間30日で,6~9月に6~8子を生む。子は,55日間母親の乳首に吸いついたままで過ごし,4ヵ月で独立する。本種の個体数はふだんは多くないが,ネズミ類が大発生すると急激に増加する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報