砂丘(読み)さきゅう(英語表記)sand dune

翻訳|sand dune

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

砂丘
さきゅう
sand dune

風で運ばれた砂が堆積してできた小高い丘。乾燥地域に多くみられるが,湿潤地域でも乾いた砂があり,風が強く砂を止める障害物があると海岸や広い河原などに形成される。日本でも鳥取砂丘や利根川河畔砂丘などが有名。大陸内陸部の乾燥地域の砂丘は,卓越風の風上側にゆるい斜面を向け,風下側が急傾斜した三日月形のバルハン型と,風上側に馬蹄形の凹地をもち風下側が緩傾斜しているマンハ型とに分けられる。砂丘は卓越風の方向に移動し,集落や耕地を埋めてしまうこともあるが,気候が湿潤化すると植生,土壌におおわれ固定化する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

砂丘【さきゅう】

風の運搬・堆積作用でできる砂の小丘。大陸内部の熱帯あるいは中緯度砂漠にみられる大規模な内陸砂丘,日本などの温帯湿潤地方にみられる海岸砂丘,砂質のはんらん原にできる小規模な河畔砂丘がある。ドイツやロシア西部などには更新世の氷期に形成され今日では草や疎林におおわれている古砂丘が分布している。個々の砂丘は風力と砂粒の供給量のバランスにより成長し,徐々に風下に移動する。砂の供給が増すにつれて不規則な砂丘群が生まれ,ときに波のうねりのような形で風向に直角に連なる横砂丘ができ,風力が強い場合には風下に開くV字形や放物線形の砂丘が生じ,これが風向に従って数百m〜数十kmも列状にのびる縦砂丘ができる。砂の供給が減少すると風食されて複雑な形の浸食砂丘となる。→砂漠バルハン
→関連項目乾燥地形砂浜海岸風食

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

岩石学辞典の解説

砂丘

風により運搬された砂が堆積して形成された丘または丘陵を砂丘といい,海岸や砂漠に発達する.ライエルは砂丘を風に吹かれた砂の低い丘としたが[Lyell : 1835],その後は数cmよりも大きい規模の砂の小山を砂丘とする傾向がある[Simons, et al. : 1961].風成の砂丘はその形と卓越する風に関係する方向によって,縦列砂丘(londitudinal),三日月型砂丘(crescentic),複合砂丘(complex dune)に分類される[Pettijohn, et al. : 1972].縦列砂丘は風の主方向に平行にのびる直線的砂丘の列.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

さきゅう【砂丘 sand dune】

風によって運搬・堆積された砂(風成砂という)からなる高まりをいう。風が強く,砂漠を含む乾燥・半乾燥地域,海岸,河岸,湖岸など,乾燥した砂質の裸地を生じやすい所に形成される。砂丘の規模や形態は,風の強さ,風向の安定性,砂の供給量や粒度,植被の粗密などの条件により変化する。
[風成砂の特徴]
 風は礫(れき),砂,シルトのまじった堆積物から,おもに中~細粒砂(直径0.5~0.125mmの砂)だけをきれいによりわける作用をする。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

さきゅう【砂丘】

強い風によって運ばれた砂が堆積してできた丘。海辺にあるものを海岸砂丘、砂漠にあるものを内陸砂丘という。 「鳥取-」

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

砂丘
さきゅう

風により移動した砂が堆積(たいせき)して形成された丘や堤状の地形。起伏がなく平坦(へいたん)な砂の堆積地形は砂床sand sheetとよばれている。[赤木祥彦]

種類・分布

砂丘は移動の有無によって移動砂丘と固定砂丘に分類され、形成場所によって砂漠砂丘、海岸砂丘、河畔砂丘、湖畔砂丘に分類される。移動砂丘は砂が移動しつつある現成の砂丘である。固定砂丘は植生の増加により砂の移動が止まった砂丘であり、その最大の原因は気候の湿潤化である。気温との関係で異なるが、一般的には年降水量が150ミリメートルを超えると増加した植生が砂の移動を妨げるため、砂丘は固定される。そのため、植生により固定された砂丘は気候の湿潤化を示す有力な証拠となり、化石砂丘ともよばれている。砂丘の固定化は植林によってもみられるが、これは砂丘の移動による集落や耕地の被害を防ぐために行われている。砂漠砂丘は他の場所の砂丘と比較するとその規模は非常に大きく、形態も複雑である。砂丘と砂床を加えた範囲が砂砂漠である。砂砂漠が世界の砂漠全体に占める割合は約20%であるが、各砂漠によって大きな相違がある。安定陸塊の砂漠ではその割合が大きく、サハラ砂漠では約20%、アラビア砂漠では約30%、オーストラリア砂漠では約40%であるが、オーストラリア砂漠の砂砂漠は氷河時代に形成され、降水量が多くなった現在は固定砂丘となっている。造山帯の砂漠では砂砂漠の割合が非常に小さく、南北両アメリカ大陸の砂漠では1%以下である。
 湿潤地帯では海岸と河畔に発達している。海岸砂丘は高温多湿で植生の生育のよい熱帯や、降雪の多い高緯度では形成されにくく、中緯度の風の強い所に形成されやすい。そのため、アメリカ合衆国東海岸やヨーロッパ西岸、日本では日本海沿岸や茨城県の鹿島灘(かしまなだ)、鹿児島県の吹上浜などに形成されている。河畔砂丘は砂が多量に運ばれ、一定方向の風が強い所で形成されやすく、アメリカ合衆国のミズーリ川やミシシッピ川、日本の利根(とね)川河畔に代表的なものがみられる。湖畔砂丘としては、アメリカの五大湖沿岸のものが典型的である。[赤木祥彦]

形態

形態は、砂の堆積する基盤の性状、風力、風向、供給される砂の量などにより異なるが、基本的にはバルハン砂丘、横列砂丘、線状砂丘、塊状砂丘、障害物に関係する砂丘に分類される。バルハン砂丘は三日月形の平面形をしており、両端が風下側へ延びている。縦断面形は風上側は凸形で緩勾配(こうばい)、風下側は凹形で急勾配である。砂の供給が少なく、一定方向の強い風が吹く所に形成されるが、砂の供給が多くなると隣接する角の部分がつながり、横列砂丘へと移行する。横列砂丘は風の方向に直交し、縦断面形はバルハン砂丘と同じである。線状砂丘は風の方向とほぼ平行な砂丘で、セイフ砂丘ともよばれている。砂の供給が少なく、風の方向が90度以内で2方向から吹く所で形成される。塊状砂丘は風向が一定しない所で形成されピラミッド形、星形などがみられる。障害物に関係する砂丘としては、灌木(かんぼく)や崖(がけ)の風下側に形成される砂影や鞍部(あんぶ)の風上・風下に形成される登攀(とうはん)砂丘などがある。[赤木祥彦]

規模と移動速度

砂丘の規模と移動速度は供給される砂の量、風向と風速によって異なるが、これらの要因は地域によっても異なる。
(1)バルハン砂丘 風上側の円形の部分から両端の角の先までの縦の長さは15~110メートル、両側の角と角の間の幅は20~250メートル程度のものが多いが、400メートルを越すものもある。高さは横幅の10分の1程度である。移動速度は1年に5~30メートル程度であるが、モーリタニアでは63メートルが記録されている。
(2)横列砂丘 砂丘の高さ3~35メートル、幅は300メートル~2キロメートル、砂丘と砂丘の間隔は500メートル~3キロメートルであるが、高さが250メートル、砂丘の間隔が5キロメートルを越える例も報告されている。移動速度はバルハン砂丘と比較すると、砂の量が多くなるだけ遅く、1年に0.3~5メートル程度である。
(3)線状砂丘 地域によりその規模に大きな違いがみられる。一般的には高さ5~30メートル、幅5~20メートル、長さ数百メートル~数十キロメートルであるが、オーストラリア砂漠には高さ20~30メートル、幅300~500メートル、長さ100キロメートルを越す線状砂丘が多数分布している。線状砂丘の移動についてはデータが少ないが、1年に2~15メートルの記録がある。なおオーストラリア砂漠の砂丘は固定砂丘である。
(4)塊状砂丘は最大規模の砂丘であり、高さが300~400メートルに達するものが各地の砂漠で報告されている。
(5)砂床 面積は数平方キロメートルの砂床から、エジプト、スーダン、リビアにかけて分布している10万平方キロメートルに達するセリマ砂床まで多様である。砂の厚さはせいぜい数メートルまで、セリマ砂床では1メートル以下である。砂床はほとんど移動しない。砂の供給量が多くなると砂丘と砂床の複合体が形成されるが、この複合体は面積によって二つに区分されている。面積が3万平方キロメートル未満のものは砂丘原dune field、3万平方キロメートル以上のものは砂海sand seaとよばれている。[赤木祥彦]

利用

砂漠の移動砂丘を固定するのは困難であるが、湿潤地域の砂丘は砂防林を植樹し砂の移動が止められている所が多い。外国ではこの固定砂丘を農地として利用している所は少ないが、日本では砂防林の間が果樹園や耕地として利用されている所が多い。乾燥地帯には、過去のより乾燥した時期に形成された砂丘が、気候の湿潤化とともに固定した砂丘が広く分布している。サヘル地域では、この固定砂丘で古くから農耕・牧畜による生活が続けられてきたが、第二次世界大戦後の人口の急増や経済政策の変化などが急速に過耕作・過放牧をもたらし、砂漠化が進んでいる。中国の内モンゴル自治区では、社会主義政権成立後、モンゴル族の放牧地が急速に耕地化され、ここでも砂漠化が進んでいる。乾燥地帯の固定砂丘の植生は不安定であるから、慎重な土地管理が必要である。[赤木祥彦]
『日本砂丘学会編『世紀を拓く砂丘研究――砂丘から世界の沙漠へ』(2000・農林統計協会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の砂丘の言及

【乾燥地形】より

…ブローアウトは径数百m以下,深さは1m程度の円ないし楕円形のデフレーションによる凹地で,風食凹地または風食窪と呼ばれる。風による堆積地形としては砂原,砂丘レスがある。砂原は風紋以外起伏の見られない砂の平原である。…

【堆積作用】より

…また,跳躍によって移動する粒子が地表面に衝突するとき,表面匍行が少ないと除去量よりも堆積量が増し,付加堆積が進む。こうして砂丘やレスloessが形成される。砂丘では山形地形の風下側斜面において落下堆積となだれを繰り返す侵入堆積によって砂丘は前進する。…

【地形】より

…武蔵野台地などの洪積台地,多摩川低地などの沖積低地は〈中地形〉の規模であり,その中の扇状地,三角州などの地形単位は〈小地形〉と考えてよい。さらに例えば三角州を構成する自然堤防,後背湿地,蛇行跡,砂丘などの地形要素は〈微地形〉である。微地形の場合でも,微地形を構成する部分に,例えば砂丘ではこれを構成する斜面にさらに分解して考察する立場がある。…

※「砂丘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

新華社

中華人民共和国の国営通信社。新華通訊社が正式名称。 1931年延安で創立され,48年北京に移り,現在は政府国務院新聞総署の管轄下にある。特に文化大革命以後は重要度が高まり,党と政府の発表はここを通じて...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

砂丘の関連情報