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ネズミ ネズミ rat; mouse

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ネズミ
ネズミ
rat; mouse

哺乳綱齧歯目のうち,広義にはネズミ亜目 Myomorphaの動物の総称で,1200種ほどが知られている。狭義にはネズミ上科 Muroideaの動物を,また特にネズミ科 Muridaeのもののみをさす場合もある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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栄養・生化学辞典の解説

ネズミ

 ラット(→ラット)といわれる動物,マウス(→マウス)といわれる動物いずれも「ネズミ」と通称する.げっ歯目真鼠亜目ネズミ亜科の小動物.実験動物として使われる.

出典|朝倉書店
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ネズミ
ねずみ / 鼠
ratmousevole

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ネズミ亜目に属する動物の総称。
 この亜目Myomorphaを含む齧歯目は、約300属5000種が属する哺乳類中最大のグループで、哺乳類の種の約3分の1が含まれる。繁殖力が強いので個体数も多く、南極大陸を除く全世界に分布している。北アメリカの暁新世の地層から発見されているパラミス類Paramidが、齧歯類の祖先型と考えられている。門歯(切歯)は上下各1対で、一生伸び続け(無根歯)、犬歯と小臼歯(しょうきゅうし)の多くが退化して、歯列に広い歯隙(しげき)がみられる。臼歯の咬合(こうごう)面は複雑で、植物質の食物をすりつぶすのに適した形態になっている。齧歯目は頭骨と咬筋の形態の特徴によって、リス亜目Sciuromorpha、ネズミ亜目、ヤマアラシ亜目Hystricomorphaの3亜目に大別される。[宮尾嶽雄]

ネズミ亜目の特徴

ネズミ亜目の仲間は頭胴長5~50センチメートル、尾長0~40センチメートル、体重6~2000グラム。乳頭は胸部から腹部、鼠径部(そけいぶ)に至る線上に形成されるが、どの部位に何対生ずるかは、種によってほぼ一定しており、種間の差が著しい。もっとも多いのはゴールデンハムスターMesocricetus auratusの7~8対、もっとも少ないのはカゲネズミEothenomys kageusの2対である。乳頭の数は、1回の産子数、すなわち繁殖力と密接な関係をもっている。
 ネズミ亜目の咬筋は、リス亜目、ヤマアラシ亜目より進んだ特徴をもち、より複雑なあごの運動を可能にしている。すなわち、眼窩(がんか)下孔が大きく、内側咬筋がそれを通り、浅咬筋の前部は頬骨弓(きょうこつきゅう)ではなくて吻部(ふんぶ)からおこっているのがそれである。切歯は上下各1対でのみ状、前面のみがエナメル質に覆われ、鉄分を含んで赤褐色をしている。生涯歯根ができず、伸び続ける。犬歯はない。大部分のものは小臼歯もなく、大臼歯は上下各側に3本であるが、2本だけの種もみられる。切歯と臼歯の間は、広い歯隙となり、切歯でかじり取った食物として不適当な部分は、このすきまから口の外へ出す。現生齧歯類の種数の約3分の2を占めており、ネズミ亜目の種の自然分布をみないのは南極大陸とニュージーランドだけである。しかし、ニュージーランドにも、1770年ごろのキャプテン・クックの探検後に、ネズミ類が入り込んでいる。[宮尾嶽雄]

分類

ネズミ亜目は、ネズミ上科Muroidea、ヤマネ上科Gliroidea、トビネズミ上科Dipodoideaの3上科に大別される。
〔1〕ネズミ上科にはキヌゲネズミ科Cricetidae、ネズミ科Muridae、メクラネズミ科Spalacidae、タケネズミ科Rhizomyidaeがある。キヌゲネズミ科とネズミ科は、ネズミ亜目のなかでももっとも繁栄しているグループである。キヌゲネズミ科はツンドラ地帯から熱帯雨林にわたって広く分布している。漸新世初期からユーラシアを中心に発展し、鮮新世には北アメリカやアフリカにも広がった。歯式は

の16本。大臼歯の咬合面はエナメル質がひだ状に折れ曲がって複雑な形態を示している。大臼歯が無根歯であるものも多い(日本ではハタネズミ、ニイガタヤチネズミ、スミスネズミなど)。キヌゲネズミ科には、ヨーロッパ、アジアの草原にすむキヌゲネズミ属Cricetulus、ヨーロッパ、アジア、北アフリカのハタネズミ属Microtus、北アメリカのシロアシネズミ属Peromyscus、大発生で有名なレミング属Lemmus、ヒマラヤの高地にすむアルテコラ属Alticola、中央アジアの砂漠にすむスナネズミ属Meriones、南アメリカの渓流にすむイクチオミス属Ichthyomys、毛皮獣のマスクラット属Ondatra、実験動物として有名なハムスター属Mesocricetusなど約100属があり、あらゆる環境に進出して生活している。日本にはエゾヤチネズミ、ミカドネズミ、ヤチネズミ、スミスネズミ、ハタネズミなどがいる。
 ネズミ科は鮮新世以降にユーラシアの温帯から熱帯で大発展を遂げ、一部はアフリカにも入っている。歯式は

の16本。ネズミ科には、ヒトに伴ってほぼ全世界に広く分布しているドブネズミRattus norvegicus、クマネズミRattus rattus、ハツカネズミMus musculusのイエネズミ(家鼠)類3種をはじめとして、ネズミ亜目最大で体重2キログラムに達するフィリピンのクモネズミ属Phloeomys、オーストラリアで水中生活をするミズネズミ属Hydromys、イネ科草本の茎の間に球形の巣をつくるカヤネズミMicromys minutusなど101属ほどが知られており、生活様式や形態に著しい多様性がみられる。日本にはアカネズミ、ヒメネズミ、カヤネズミ、アマミトゲネズミ、ケナガネズミなどがいる。メクラネズミ科はメクラネズミ属Spalaxの1属だけで、東部地中海地方および南東ヨーロッパに分布し、目や耳介が退化する一方、手のつめは著しく発達し、地中生活に適応したものである。タケネズミ科には東アフリカと東南アジアに3属が知られている。タケネズミ属Rhizomysは中国南西部に分布し、タケの根や茎を食べる。
〔2〕ヤマネ上科にはヤマネ科Gliridae、トゲヤマネ科Platacanthomyidae、サバクヤマネ科Selevinidaeの3科がある。ヤマネ科はヨーロッパ、北アフリカ、アジアに分布し、7属ほどが知られており、歯式は

の20本。樹上生活をし、ネズミ亜目の祖型に近い形態をとどめている。冬眠する哺乳類として有名である。日本には本州、四国、九州にヤマネGlirulus japonicusがいる。トゲヤマネ科はインド、中国南部に2属がある。歯式は

の16本。サバクヤマネ科はカザフスタン砂漠に1属が知られている。歯式は

の16本。
〔3〕トビネズミ上科にはオナガネズミ科Zapodidaeとトビネズミ科Dipodidaeの2科がある。オナガネズミ科はユーラシアと北アメリカに分布し、4属が知られている。歯式は

の16本、または

の18本。トビネズミ科は跳躍運動への特殊化を示しており、後肢は長い。後足は第1指と第5指が縮小または退化消失し、第2~第4指は癒着している。尾も長く、先端は房状になっている。目も大きい。中央アジアからアフリカの砂漠地帯に分布しており、10属ほどが知られている。歯式は

の16本、または

の18本である。[宮尾嶽雄]

生態

ネズミは大部分が植物食で、草の葉、茎、根、種子、果実、幼樹の樹皮や根を食べているが、昆虫類、ミミズ類などの小動物も食べる。きわめて多産性で、その結果個体数が多い。生息環境もきわめて多様である。イヌ科、ネコ科、イタチ科などの哺乳類、肉食性鳥類、ヘビ類などの食物源としてもっとも重要なものとなっている。大部分の種が、地下にトンネルを掘り巡らして生活しているが、これによって土壌が耕され、土壌の通気性を高めている。大量の食物摂取に伴って糞(ふん)量も多いため、生態系における物質循環を速め、土壌の肥沃(ひよく)化をもたらしている。このため、ネズミ類の除去が土壌の不毛化をもたらすこともある。日没後と日の出前に活動のピークがみられる。しかし、幼獣は食物要求量が大きく、日中も活動する。これは、成長が旺盛(おうせい)であることのほかに、代謝消費を1日の間にうまく配分する能力が未発達であることにもよる。カロリーの低い植物繊維を主食にしている種(たとえばハタネズミ)では、1日の活動回数が多い。ネズミ類は小形であるために、好適な微気象条件の場所や隠れ場を至る所に求めることができる(たとえば地中、落葉層の下など)。また小形であるために発情周期が短く繰り返されるので多産性となり、寿命が短く世代の回転が速いから、環境条件の悪化による打撃からの回復が容易であり、変異性も大きくなるため、地域ごとの特殊な条件にもよく適応できる結果になっている。四季の変化の著しい地方では、食物条件の悪化に先だって、食物を蓄える習性が多くの種でみられる。ネズミの貯食を、シマリスやクマ、ヒトも利用することがある。[宮尾嶽雄]

ネズミの害

国連食糧農業機関(FAO)の調査によれば、アジアでは穀物の全生産量の20%以上がネズミに食べられており、全世界の平均をとっても、農産物の10%以上がネズミに食べられているという。冬の間、雪の下で牧草の根が食べられてしまうため、牧草地が壊滅的な打撃を受けることもある。日本では北海道でエゾヤチネズミ、本州でハタネズミ、四国でスミスネズミが造林木や農産物を食害する。イエネズミ類による家屋や電線などの破壊、貯蔵食糧の食害も大きい。
 また、各種疾病の媒介者としてのネズミの存在も大きい。ペストは本来ネズミの病気で、ネズミに寄生しているケオプスネズミノミがこれをヒトに伝染させる。古代アテネやローマ帝国の滅亡は、ペストに原因があったともいう。日本でも明治30年代に神戸、大阪、東京などにペストの流行をみている。主役はクマネズミであったようである。そのほかドブネズミ、ハタネズミによる鼠咬症、黄疸(おうだん)出血性レプトスピラ病(ワイル病)、ハタネズミ、アカネズミとツツガムシによるつつが虫病、イエネズミとヤマトネズミノミによる発疹熱(ほっしんねつ)、ハタネズミによる泉熱(いずみねつ)、イエネズミによる食中毒など、ネズミが関係している疾病はきわめて多い。高熱、急性腎炎(じんえん)、肝炎などを併発する韓国型出血熱のウイルスが、日本のアカネズミ、ハタネズミなどにもかなり広がっていることも明らかになってきている。また、乳児がドブネズミにかみ殺される事件もあるほか、ネズミによってガス管がかじられたためのガス爆発やガス中毒、電線をかじったための漏電も少なくない。このため、ネズミ駆除を専門にする会社も増加している。家庭でできる駆除手段としては、各種殺鼠剤(さっそざい)のほかに、籠(かご)わな、弾(はじ)きわな(パチンコ)、強力な粘着紙を用いた捕鼠器などが市販されている。ネズミ駆除は、地域ぐるみで一斉に実施しないと実効はあがりにくい。また、家屋内外を清潔に保ち、ネズミの食物源を断つことが肝要である。しかし、特定動物の大発生には生態系の人為的な単純化にその原因がある場合が多いため、駆除のほかに、天敵動物の保護も含めたつり合いのとれた生態系の回復が望まれる。[宮尾嶽雄]

ネズミの利用

ドブネズミを飼いならしたラット、ハツカネズミを飼いならしたマウス、ハムスター、スナネズミなど、医学、歯学、薬学、生物学分野でネズミ類は実験動物として欠くことのできないものになっている。日本で使われているだけでも1年に300万~400万頭に達し、今後いっそう増加していくであろう。さらに現在、野生のネズミ類から新しい実験動物をつくりだす研究も続けられている。また、蒔絵師(まきえし)が使う特殊な筆はネズミの毛でつくられるほか、ネズミの毛皮は防寒用衣類に利用され、マスクラットはとくに有名。[宮尾嶽雄]

民俗

奄美(あまみ)諸島、沖縄諸島には、ネズミは「ニライカナイ」(海の楽土)の神の支配下にあるという観念があり、奄美諸島では旧暦8月以後の甲子(きのえね)の日をネズミのための物忌みの日としていた。ネズミを大黒さまの使者とし、甲子の日を大黒さまの祭日とする伝承は各地にある。ネズミが悪魔的な起源をもつとする伝えは広い。北海道のアイヌ民族では、ネズミは神に悪口をいった者を懲らしめるための動物であったが、繁殖しすぎたので、神はネズミを退治するためにネコをつくったという。アイルランドでも悪神がネズミを、善神がネコをつくったという。北方ユーラシアには、モンゴルのブリヤート人、ロシア、フィンランドなどに『旧約聖書』の外典伝説があり、ノアの箱舟に乗り込んだ悪魔がネズミになって船の底をかじって穴をあけようとしたので、神がネコをつくったと伝える。ドイツには魔女が布きれでつくったとする伝えもある。アイヌ民族では害を避けるために、ネズミをたいせつにする。悪口をいうと被害を受けるといい、イナウを捧(ささ)げて拝む風習があった。古代ギリシアでは、ネズミの退去を願う文言を紙に書いて、畑の石に張っておくとよいといわれた。これもネズミを尊重する態度で、この方法は近代までヨーロッパ人の間で行われていた。インドネシアのバリ島でも、稲田を荒らすネズミはとらえて焼き殺すが、2匹だけは生かしておき、神のように拝礼して放したという。睡眠中に人間の霊魂がネズミの姿で抜け出すという信仰もある。ドイツ、ルーマニアなど中部ヨーロッパに多く、ロシア北東部に住むフィン系民族集団のコミ人にもある。ネズミの体の特徴にあやかる呪法(じゅほう)もある。オーストラリアの先住民のなかには、ひげの長いネズミを表象する物であごをたたくと、りっぱなひげが生えるという伝えがあり、ドイツでは歯が抜けると、ネズミのような強い歯が生えるようにという呪法を行った。[小島瓔

文学

物をかじり、家に穴をあける害獣として、早くから考えられていたらしい。『歌経標式(かきょうひょうしき)』には、著者藤原浜成(ふじわらのはまなり)がつくったなぞなぞの歌「鼠(ねずみ)の家(いへ)(よね)つきふるひ木をきりて引ききり出(い)だす四つといふかそれ」が記されている。「鼠の家」は「穴」、「米」を搗(つ)き、篩(ふるい)にかけて製する物は「粉(こ)」、「木」をこすって出す物は「火」、「四つ」は「し」、これを続けると、「あな恋し」となる。『古事記』上巻、大国主神(おおくにぬしのかみ)が須佐之男命(すさのおのみこと)の娘須世理毘売(すせりびめ)に求婚して、さまざまな試練を受け、鏑矢(かぶらや)を野に捜しに行き火を放たれたとき、鼠が出てきて、「内はほらほら、外はすぶすぶ」と教えて助ける、という神話はよく知られている。仏典では、月日の経過を白黒二つの鼠が競い走るのに例えられ、『万葉集』巻5の大伴旅人(おおとものたびと)の日本挽歌(ばんか)の題詞にみえる。古代歌謡の『催馬楽(さいばら)』には、「西寺の老鼠(おいねずみ)若鼠御裳(おむしやう)(つ)むつ袈裟(けさ)喰むつ法師に申さむ師に申せ」と歌われている。『枕草子(まくらのそうし)』の「むつかしげなるもの」の段に、「鼠の子の毛もまだ生ひぬを、巣の中よりまろばし出でたる」と記され、あまり好感はもたれていないようである。『徒然草(つれづれぐさ)』にも、「その物につきて、その物を費やし損なふ物」の一つに「家に鼠あり」とあげている。昔話にも、『鼠の浄土』や『鼠の嫁入り』など、よく知られたものがある。[小町谷照彦]
『三坂和英・今泉吉典著『ネズミとモグラの防ぎ方』(1963・日本植物防疫協会) ▽今泉吉典著『原色日本哺乳類図鑑』(1960・保育社) ▽宇田川竜男著『ネズミの話』(1974・北隆館) ▽宇田川竜男著『ネズミ――恐るべき害と生態』(1965・中央公論社)』

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