…さらに,源義経らの軍に敗れて都を逃れた義仲の最期の場面は,《平家物語》の白眉である。義仲は乳母子(めのとご)の今井兼平と打出の浜で行き会い,奮戦ののち,最愛の巴御前を無理に去らせる。兼平と主従2人になった義仲が〈日来(ひごろ)は何ともおぼえぬ鎧が,今日は重うなったるぞや〉と告げると,兼平は自害を勧め,その間敵を防ごうという。…
…実母に代わって子女の養育に当たる女性の称。乳母をおく風習は古代の貴族・豪族の間では一般的なことであった。《日本書紀》神代巻には〈ちおも〉とあり,また〈ちぬし〉と称することもあった。律令によれば親王およびその子には乳母が給されることになっていた。乳母と被扶養者との関係は非常に親密で,近親に近い扱いをうけた。9世紀の初めころまでは,例えば,阿倍内親王(のち孝謙天皇)と阿倍朝臣石井のように,親王の名に乳母の氏族名を付けることもごくふつうに行われた。…
※「乳母子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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