立っている者は親でも使え(読み)たっているものはおやでもつかえ

ことわざを知る辞典 の解説

立っている者は親でも使え

人に何かしてもらう時は、すわっている者に頼むより立っている者を使う方が手っ取り早い。忙しいときは、手の空いている者なら誰を使ってもよいというたとえ。また、立っている人に用事を頼むときに言い訳めかしていう。

[使用例] そりゃまたよくねえ、立ってるものは親でも使えということがあるじゃねえか、おれだって何も兄貴をこき使って、くわ煙草で澄ましていようという不了見じゃねえが[中里介山大菩薩峠|1913~41]

[解説] 「親でも」は誰でもよいことを強調したもの。いまでは不精者の言い訳のように聞こえますが、かつての農業社会では意味合いが少し違っていました。しゃがんで草を取ったり、すわって手作業をすることも多く、立って腰を伸ばすことが休息にもなっていたから、むしろ忙しく働く者が立っている者に対して少しおどけて口にしたものと思われます。

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