蝉声（読み）セミゴエ

デジタル大辞泉

せみ‐ごえ〔‐ごゑ〕【^×蝉声】

蝉の鳴き声に似た絞り出すような声。一説に、逼せめあげる声の意でかん高い声、また「責め声」の音変化で苦しげな声とも。
「―にしぼり出だし読みゐたれど」〈能因本枕・二二〉

せん‐せい【^×蝉声】

セミの鳴き声。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

せみ‐ごえ ‥ごゑ【蝉声】

〘名〙 蝉の鳴き声に似たしぼり出すような声。

※能因本枕（１０Ｃ終）二二「験者(げんざ)の物の怪調ずとて、いみじうしたり顔に、独鈷(とこ)や数珠(ずず)など持たせて、せみこゑにしぼり出だしてよみゐたれど」

[補注]「枕草子」の例は前田家本「せみこゑ」、三巻本「せみのこゑ」、堺本「せめこゑ」となっている。一説に「責め声」の転で、せまってしぼり出すような苦しげな声、また、逼(せ)め上げる声で、急調子なかん高い声のことともいう。

せん‐せい【蝉声】

〘名〙 セミのなくこえ。蝉語。

※南游集（1364頃）即事「清風一枕北窓下。午樹蝉声夢裏聴」

※連環記（1940）〈幸田露伴〉「樹間の蝉声(センセイ)、聴き来って意に入るもの無し、といふ調子にあしらって終った」 〔劉滄‐寓居寄友人詩〕

出典　精選版 日本国語大辞典