跡を付ける(読み)あとをつける

精選版 日本国語大辞典 「跡を付ける」の意味・読み・例文・類語

あと【跡】 を 付(つ)ける

① 去ったあとに足跡などの痕跡を残す。あとを残す。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕
※新古今(1205)冬・六七九「庭の雪にわが跡付けて出でつるをとはれにけりと人や見るらん慈円〉」
② 人や鳥獣の行くあとについて行き、様子をさぐる。尾行する。追跡する。
日葡辞書(1603‐04)「アトヲ ツクル、または、Atouo(アトヲ) tçuqete(ツケテ) ユク
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一一「誰かあとをつけて来さうでたまりません」
③ 江戸深川の岡場所で、他の遊客が揚げた芸妓があいたら、すぐにつづけて自分が揚げるために、玉(ぎょく)をつける。または、自分で揚げた芸妓の約束の時間が切れた後も、つづけて揚げる。
洒落本美地の蠣殻(1779)「昼おれが来て口をかけたら、無(ねへ)と云ふから、跡でも付て来ひとたのめば」

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