音曲口伝書(読み)おんぎょくくでんしょ

改訂新版 世界大百科事典 「音曲口伝書」の意味・わかりやすい解説

音曲口伝書 (おんぎょくくでんしょ)

義太夫節の伝書。内題は《竹本播磨少掾(はりまのしようじよう)口伝》。筆者は順四軒(じゆんしけん)。1771年(明和8)刊。73年の再版がある。1巻。素人太夫で,大坂順慶町四丁目に住む順四軒が,師匠竹本播磨少掾から聞書きしたもの。したがって,播磨少掾の芸論が主内容となっている。〈浄瑠璃乃原始(はじまり)〉〈情ふかくといふ事〉〈深切(しんせつ)なるといふ事〉〈男女わかち乃事〉〈音乃事〉〈誉(ほめ)られやうの事〉などと浄瑠璃の由来から音・調子・たしなみ等について述べるほか,〈音曲口伝〉として,52番の浄瑠璃の語り方の要点を説く。また師の遺品播磨少掾自筆書状・腹帯など9点をかかげる。播磨少掾の息子の中紅屋(なかもみや)長右衛の叙,順四軒の跋を付す。播磨少掾,ひいては義太夫節の芸術論を知る上で重要な書。《浄瑠璃研究文献集成》に翻刻
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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