日本大百科全書(ニッポニカ) 「アウルトナソン」の意味・わかりやすい解説
アウルトナソン
あうるとなそん
Jón Árnason
(1819―1888)
アイスランドの民俗学者。牧師の子として生まれ、幼時から物語を好んだ。長じて図書館員になり、ドイツのグリム兄弟の昔話収集に倣い、友人とアイスランド全土の民話、民謡、謎(なぞ)、迷信の収集にあたる。最初の成果『アイスランド昔話』Íslenzk æfintýri(1852)は民衆に歓迎された。1858年アイスランド各地を旅行し、民話を刊行したドイツの学者コンラート・マウラーの助力を得て、『アイスランドの伝説と昔話』Íslenzkar pjóðsögur og æfintýri(1862~1864)2巻を完成、ライプツィヒで出版した。グリムの方針と異なり、語り手の話を忠実に採用したことが本書の価値を高め、口承伝承収集に大きく影響した。
[谷口幸男]
『ヨウン・アウルトナソン編、菅原邦城訳『アイスランドの昔話』(1979・三弥井書店)』