迷信(読み)メイシン

デジタル大辞泉 「迷信」の意味・読み・例文・類語

めい‐しん【迷信】

俗信のうちで、合理的根拠のないもの。一般には社会生活上実害を及ぼし、道徳に反するような知識や信仰をいう。
[類語]誤信盲信妄信過信げんを担ぐ縁起を担ぐ御幣を担ぐ

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精選版 日本国語大辞典 「迷信」の意味・読み・例文・類語

めい‐しん【迷信】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 誤って信じること。誤信。
    1. [初出の実例]「此等羽翼の輩は只管純然たる正義公道なる者ありと迷信するが故に」(出典:薩長土肥(1889)〈小林雄七郎〉四藩気質)
  3. 現代の科学的見地から見て不合理であると考えられる言伝えや対象物を信じて、時代人心に有害になる信仰。
    1. [初出の実例]「いまいましき門閥、血統、迷信の土くれと看破りては」(出典:文づかひ(1891)〈森鴎外〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「迷信」の意味・わかりやすい解説

迷信
めいしん

俗信のうち、社会生活に実害を及ぼし、道徳に反するようなものを、常識的にいう。superstitionの訳語。一般には、〔1〕間違って信じられていること、〔2〕人を迷いに導く信仰、以上のように理解されることが多いが、〔1〕では意味が広すぎるし、〔2〕も明確でない。つまり信仰は、わが神がもっとも尊く、わが信仰がもっとも正しいと、それぞれに信じるものであり、どの信仰が正しいという基準が明確でない。しかも信仰は科学の下位概念ではないから、科学によって正邪を判定すべきものでもない。そのうえに迷信の語は、ことば自体に「間違いである」という価値判断を伴っており、学術用語としての概念規定が困難である。そのため新たに俗信という語を採用し、討論を経て概念規定を明確にしようとしている。

 俗信の起源については、信仰が零落し、その破片などが誤解されたものだという説がある。現在、迷信とよばれているもののなかには、信仰の零落や誤解も混入しているが、すべてがそうだとはいえない。もし俗信が信仰の零落したものであるとすると、まず信仰、次に俗信、という時間系列がなければならず、信仰のない段階で俗信はありえないことになろう。ところが実際には、信仰や宗教が発達していない低開発社会にも俗信は存在する。したがって信仰と俗信とは、時間的な先後関係をもつと考えるよりは、共存・併存するものと考えるほうが、より真実に近いと思われる。

 俗信の発生も自然観照のなかに求めるべきである。観照とは、物事を十分に観察し、その本質を見極めようとすること。自然の神秘に触れ、自己の内面に働きかけようとするところに信仰が生じ、自然の神秘に感動すれば芸術となり、因果関係を追及しようとしたのが俗信である。そのうち因果関係の証明できるものは科学として独立し、あとに取り残されたものは、因果関係の証明が困難なものばかりになった。しかし俗信は、初めから不合理・非科学を求めたのではない。因果関係を証明するに際して、あまりに直観連想に頼りすぎ、また統計処理の方法が拙劣であったためである。たとえば「カラス鳴きが悪いと、人が死ぬ」という予兆(よちょう)の場合、カラスの鳴き声が異常だということが原因で、人が死ぬという結果をもたらしたのではなくて、カラスの鳴き声から、墓場供物に群がるカラスを連想し、直観的に葬式=死と結び付けたのである。「ご飯を食べてすぐ横になると、牛(犬)になる」という禁忌(きんき)も、牛や犬が餌(えさ)を食べたあと、すぐ横になるのを連想したにすぎない。しかし「夕焼けがあると、次の日は晴れる」という予兆のなかには、一部の真実が含まれているし、民間療法や民間薬のなかにも、現代科学で成分を分析するなどして、見直されているものもある。因果関係の証明できるものは、みな科学として独立していったが、少しは見残しがあったということになろう。

 現在、常識的に迷信とされているもののなかには、日時・方角などに関する吉凶、種々の占いや祈祷(きとう)の類のように、気にする人だけが気にするもののほか、憑(つ)き物という現象がある。狐(きつね)憑き、犬神(いぬがみ)憑きなど動物霊ののりうつるとされるものが多く、それを落とすための松葉いぶしや叩(たた)き出しの呪法(じゅほう)によって、生命を失う例さえある。また憑き物が家系を伝わるという迷信は、社会的緊張をもたらし差別の原因にもなっている。

[井之口章次]

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百科事典マイペディア 「迷信」の意味・わかりやすい解説

迷信【めいしん】

不合理な観念連合による信仰。明治期にsuperstitionの訳語として使用。その基準は相対的で,古い宗教の信仰形態が断片的に残存したものと考えられる。また自己を正信とする既成宗教は,民間信仰,新興宗教(新宗教)などを迷信,邪信と呼ぶ場合がある。科学的立場から俗信を迷信とするが,俗信は非体系的な経験知識をも含む民間の心意現象で,そのうち社会的実害の大きい憑物(つきもの),丙午(ひのえうま),民間療法の一部,妖怪幽霊などを特に迷信という。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「迷信」の意味・わかりやすい解説

迷信
めいしん

社会的に実害を引起す俗信のこと。迷信とは正信に対する語であるが,信仰のなかで何が正信で,何が迷信であるかは容易に区別できない。世の中には宗教を否定する立場もあるからである。科学的に解釈のつかないものはすべて迷信とする立場もあるが,簡単に断定することはできない。普通,言いならわしとされているものの多くは俗信と呼ぶべきもので,そのうちで実害を伴うものを迷信とすべきである。日本における迷信の代表的な例としては,丙午の女性との縁組を嫌うなどや,狐憑,犬神憑,へび憑などと称し,これらを憑物としてもっている家筋があるとされ,その家との縁組や交際を忌避する習俗があり,両者ともに幾多の悲劇を生じている。

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デジタル大辞泉プラス 「迷信」の解説

迷信

アメリカのミュージシャン、スティーヴィー・ワンダーの曲。「トーキング・ブック」(1972年)からのシングルで、全米第1位・全英第11位を獲得した。「ローリング・ストーン」誌が選ぶ最も偉大な500曲第73位。原題《Superstition》。

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改訂新版 世界大百科事典 「迷信」の意味・わかりやすい解説

迷信 (めいしん)

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普及版 字通 「迷信」の読み・字形・画数・意味

【迷信】めいしん

誤った俗信。

字通「迷」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の迷信の言及

【俗信】より

…このような現代科学の基準からみても合理性,科学的妥当性をもつ俗信と,いかなる観点からみても,それらをもたない俗信とがある。われわれはその後者を,とくに〈迷信〉と呼び,〈俗信〉と〈迷信〉を区別して用いている。俗信,迷信の中にはその起源・由来などが明確でないものが多い。…

※「迷信」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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