改訂新版 世界大百科事典 「マウラー」の意味・わかりやすい解説
マウラー
Georg Ludwig Maurer
生没年:1790-1872
ドイツの法律家,政治家,社会法制史家。デュルクハイム近くのエルポルツハイムの新教の牧師の子として生まれ,パリ,ハイデルベルクに学んだのち,バイエルンの官吏となった。一時ミュンヘン大学の教授となったが,バイエルン王ルートウィヒ1世の子オットー1世が幼少にしてギリシア王となったため,その政治顧問として幼王を助けた。のちバイエルンの司法,外交の要職につき枢密院の有力者となった。退官後はもっぱら中世ゲルマン民族の共同体の諸形態に関する研究に努め,とくにマルク共同体Markgenossenschaftの研究に画期的な業績を残した。《ドイツ人の共同体的生活の研究》12巻(1854-71)がその主著であるが,その第1巻にあたるものが有名な《マルク,ホーフ,村落および都市制度史への序論》であり,原始ゲルマン村落に土地共有制が存在したことを強調した問題作である。この書はのちにギールケのドイツ団体法論に影響を与えたが,他方エンゲルスによって受け入れられ,マルクス主義の歴史観に大きな影響をもたらした。しかしマウラーの業績はその結論よりも,むしろこうした問題を可能な限り実証的に探求しようと努めた点にあるということができる。
執筆者:増田 四郎
マウラー
Orval Hobart Mowrer
生没年:1907-82
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報