アゴヒゲオコゼ(読み)あごひげおこぜ(その他表記)bearded rougefish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アゴヒゲオコゼ」の意味・わかりやすい解説

アゴヒゲオコゼ
あごひげおこぜ / 顎髭虎魚
bearded rougefish
[学] Tetraroge barbata

硬骨魚綱スズキ目ハオコゼ科に属する海水魚。日本では西表島(いりおもてじま)からのみ報告されているが、西太平洋、インド洋に広く分布する。下顎(かがく)の前端に1対のひげがあるのが大きな特徴である。体には鱗(うろこ)がなく、柔らかい小突起が散在する。胸びれは短く、先端は肛門に達しない。背びれの第2棘(きょく)から第5棘までの棘(とげ)の間隔は、それより後方の棘の間隔より広い。最上の前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)棘は強大。体は一様に黒褐色。体長は9センチメートルあまりにしかならない。沿岸の浅いところ、河川汽水域、淡水域にもすむ。枯れ葉に擬態するといわれる。本種とほとんど同じ分布で、同じところに生息するものに、ヒゲソリオコゼTetraroge nigraがあるが、下顎の前端にひげがない。アゴヒゲオコゼは、日本のレッド・リスト絶滅危惧ⅠA類に指定されている(2013)。

[尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android