化学辞典 第2版 「アノマー効果」の解説
アノマー効果
アノマーコウカ
anomeric effect
環内に電気陰性原子X(O,Sなど)をもつ飽和ヘテロ六員環において,Xに隣接する炭素原子に結合する電気陰性基Yが,立体効果に逆らってエクアトリアル位よりもアキシアル位をとりやすい現象をいう.ピラノース環をとる糖のアノマーにおいて,はじめてこの現象が見いだされたことからこの名称がついた.陰性原子Xの双極子とC-Y結合の双極子の間にはたらく静電反発が,Yがアキシアルにある場合よりもエクアトリアルにある場合のほうが大きいためという説明が一般的であるが,Xの非共有電子対とC-Y結合との共役による安定化が,Yがアキシアルの場合により大きいとする説明(立体電子効果)もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報