日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブデルハルデン」の意味・わかりやすい解説
アブデルハルデン
あぶでるはるでん
Emil Abderhalden
(1877―1950)
スイスの生化学者。ドイツで活躍した。バーゼル大学で学んだのち、ベルリン大学でE・H・フィッシャーに師事した。1908年ベルリン獣医科大学教授を経て、1911年ハーレ大学教授、1940年チューリヒ大学教授となった。数種の防御酵素(動物の血液中に細菌毒素などの異種物質が導入された場合に生成され、これらを分解する酵素)を発見し、それによる妊娠の検出や、癌(がん)の識別の方法への道を開いた。またタンパク質分解時の反応生成物により段階的分解機構を証明し、動物体内で、タンパク質から糖が生成されることを証明した。タンパク質の呈色反応であるニンヒドリン反応を発見した。そのほか血液の分析、尿物質、ホルモンやビタミンなどの研究もある。『Handbuch der biologischen Arbeitsmethoden』全9巻を編集した。
[石館三枝子]