改訂新版 世界大百科事典 「アマド」の意味・わかりやすい解説
アマド
Jorge Amado
生没年:1912-2001
ブラジルの小説家。19歳でデビューして以来,平易で詩的な文体と生き生きした描写力を駆使して30編近くの小説を発表し,日本語も含めて30ヵ国語以上に翻訳され,また映画,テレビドラマ化された作品も数多い。作品は一貫して故郷ブラジル北東部ノルデステ地方を舞台とした地方色の濃いものである。前半期の作品はカカオ農園労働者,港湾労働者,浮浪児,下層民を描いた政治臭の強いものが多く,11度の逮捕と2度の亡命生活をし,他方,スターリン国際平和賞を受賞している(1951)。この期でもカカオ農園主同士の闘争を叙事詩的スケールで描いた《無限の土地》(1942)は傑作のひとつである。民衆的,祝祭的な傾向の強い《ガブリエラ,丁字と肉桂》(1958)以降はピカレスク小説風のユーモアにあふれた作風に変わっている。ほかに《老練なる船乗りたち》(1961),《ドナ・フロールと2人の夫》(1966)など。
執筆者:高橋 都彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報