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文体 ぶんたい style

翻訳|style

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

文体
ぶんたい
style

ある特定の個人,時代,流派などの言語表現を特徴づける様式。これは (1) 客観的条件──素材,媒体など──によって規定され,また (2) 表現主体の特性に基づく主観的条件やこの主体の属する広義の環境──民族,言語,時代など──によっても規定され,さらに (3) 芸術体験の本質的構造に対する美学的見解に基づく基本概念──古典的とロマン的,写実的と象徴的,主観的と客観的など──によって類型的に分化される。

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デジタル大辞泉の解説

ぶん‐たい【文体】

文章の様式。口語体・文語体・和文体・漢文体・書簡体・論文体など。
その作者にみられる特有な文章表現上の特色。作者の思想・個性が文章の語句・語法・修辞などに現れて、一つの特徴・傾向となっているもの。スタイル

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶんたい【文体】

文体の概念には大幅な伸縮がある。平均的な意味としては,〈ことばによる表現のしかたの特徴的な相〉,あるいはいっそう簡単に〈特徴的なことばづかい〉といえるだろう。特徴にかかわる概念であるから,識別され分類されうるような,類型としても理解されうる。
【大きな類型としての文体】
 日本語の文章論においては昔からさまざまの〈……体〉と呼ばれるような大きな文体類型が考えられていた。その典型的な例をあげてみるなら,たとえば坪内逍遥は《小説神髄》内の文体論において,文学的文体は〈雅文体〉〈俗文体〉〈雅俗折衷体〉の3類である(そして雅俗折衷体はさらに〈稗史体(はいしたい)〉と〈艸冊子体(くさぞうしたい)〉に分けられる)と説明していた。

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大辞林 第三版の解説

ぶんたい【文体】

文章の形式・様式。和文体・漢文訓読体・和漢混交わかんこんこう文体・候そうろう文体・口語体などの分類がある。
語句・語法・修辞などにみられる、その作者に特有な文章表現。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

文体
ぶんたい
style英語
Stilドイツ語

文構成の様式。多く、それぞれの言語表現に認められる、独自な文構成の様式をいう。文体には個人的特徴を示すものと社会習慣的なものとがある。言語表現には表現者の考え方が反映する。表現者が、独自の考え方を有していれば表現に反映し、独自の文体が成り立つことになる。作家が、それぞれ自分の文体をもつということが、その点から考えられることになる。逆に、独自な文体をもつことが重視されることにもなる。社会習慣的な文体は、文章の歴史のなかで形成されたもので、表現者は、表現の場面・内容等から文体の選択を行うことになる。
 後者の文体は、次のように分類できる。〔1〕文語体 漢文体、記録体(東鑑(あずまかがみ)体)、宣命(せんみょう)体、和漢混淆(こんこう)体、和文体、雅文体、候(そうろう)文体、〔2〕口語体 敬体、常体。漢文体は漢字だけを用い、漢文の語序に従って記されたもの。奈良・平安時代を通じ、公的な文章に用いられていた。記録体は漢字だけで、多くは漢文の語法に従って書かれたもので、漢文体の一種といえるが、正式の漢文にはない日本語の語法に基づく表現が入り込んで、純粋な漢文とは異なる言い回しの混じたものをいう。和習漢文、変体漢文などともいわれる文である。表現者がこの文体を意図的に選択したというよりも、漢文を書こうとしたものが結果としてこの文体になったというべきである。この文体は『古事記』をはじめ、日本人の書いた漢文にはままみられるが、とりわけ平安時代の公卿(くぎょう)の漢文日記はこの文体が多く、鎌倉幕府の公式記録である『東鑑(吾妻鏡)』に顕著であるので「東鑑体」ともいう。宣命体は『続日本紀(しょくにほんぎ)』中の宣命の記録に顕著で、漢字だけを大字、小字を取り交ぜて用い、読みの便を図った文である。和漢混淆体は、多く鎌倉時代以降の軍記物にみられ、和文体を基調に漢文訓読調が交ざったもので、和文のみやびと漢文のリズミカルな簡潔さの双方のよさが生かされる。和文体は平安時代の文学作品に確立したもので、平仮名をおもに用い、当時の話しことばを基調にして書かれたと推測され、人々の連綿とした思いが反映したと考えられる文体である。雅文体は、鎌倉時代以降、とくに江戸時代の国学者を中心に、平安時代の和文体を模して書かれたもの。後世の言い回しが交ざり、平安時代の和文のままではない。候文体は、相手への敬意を「候」で表すことが多い点に特徴がある。室町時代初めの書簡作法書『庭訓往来(ていきんおうらい)』にこの文体がとられるなど書簡文の主流となった。
 口語体の文体は、その時代の話しことばに限りなく近い語法に従って書かれ、文末に「です、ます」といったていねいの意を添える語を用いる敬体(です・ます体)と、それを用いない常体(だ・である体)とに分けられ、前者は読み手を強く意識したもので、後者よりも話しことば的である。[山口明穂]

文学における文体

作者の個性または思想が、文章を構成する語句やその組み立て方に現れて、全体として一つの特色をなしているもの。ただし、ギリシア以降ルネサンス期までは、文体の問題は形式上の整備の問題として文章の統一と強化が目ざされたが、18世紀に「文は人なり」というフランスの博物学者ビュフォンのことばが広く知られ、同じころから近代文学の発展が始まるとともに、文体を個性の表現とみる見方が一般化した。[小田切秀雄]
文体と作家の個性
作品での表現効果を高めるために、ことばを選びこれを巧みに組み立てていくこと、それを意識的に行うなかで個性的な表現をつくりだしていく場合もあるが、作家としての何ものかを表現するために全力を傾注しているときに、その作家の個性的特色がおのずとそこに強烈に現れてこずにはいない、という経過で個性的な文章が生まれることもある。なお、そういう個性的な特色は、作者が時代の子、階級・階層の子であることに伴って、おのずと(または意識的に)時代的特色または階級的・階層的な特色を強く表現することになり、時代文体、階級文体、階層文体等の代表的なものとなる。これは、作者にとっていわば外部からの規制となる和文体、漢文体、漢文読み下し体、洋文体、または書簡体、日記体、記録体、論議体等の諸文体とはまた別のことで、時代文体、階級文体等の特色は作者の内部からのものでなければ強力なものになることができない。その和文体等または書簡体等の場合でも、その形式に従いながら作家が独自な文体を実現していることは、その種の多くの作品によって証(あか)したてられているとおりである。
 文体は、直接的にはもっぱら文章そのものにかかわってつくりだされた個性的特色だが、それが可能になるためには作家による個性的な判断、感覚、思考がなければならず、作家の思想や文学傾向やそれらの活気やによるところが大きい。措辞法や文構成法についての職人的な修練で、ある程度はまかなえても、すこし大きな作品ではたちまちそれは実体を露呈してしまう。文体の個性的な活気は、その作家の思想、文学的傾向そのものの活気によることが多い。文体論がただちに作品論、作家論になってしまうことが多いのも、こういうところに根拠がある。なお、文体には、文法との関係でさまざまに効果的でありうる品詞の自由な使い方、また、語の順序から句・節・文の構成の仕方のこと、音韻の組合せへの配慮、そのほか細かい具体的な問題がいろいろとあり、さらにはまた、文体を徹底的に分析していくことによって、作者自身さえ意識していなかった作品の内部構造や思考のさまざまな傾斜などの解明に至る、ということもある。[小田切秀雄]

文体論

文体研究は古典ギリシアの時代から行われ、現在では普通「文体論」stylistics(英語)、stylistique(フランス語)、Stilistik(ドイツ語)という形をとっている。古代から修辞学の一部として文体論があり、詩文体、小説文体、劇文体のそれぞれについての形式主義的な論から、近代に入るとともにしだいに作家の個性的な文体についての論に移行し、実証的または理論的に精密化するとともに、精神史や文芸思潮史等とのかかわりや人格、伝記等とのかかわりなどをも追求の対象とするようになっている。日本では1930年代末から文体論が専門的に研究されるようになり、その専門家たちによって日本文体協会が組織されている。[小田切秀雄]
『西尾光雄著『文体論』(1963・塙書房) ▽波多野完治著『現代文章心理学』(1950・新潮社) ▽日本文体論協会編『文体論入門』(1966・三省堂)』

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世界大百科事典内の文体の言及

【本】より

…この蠟板に,スティルスstilusと呼ぶ先のとがった鉄筆で字を書く。〈文体〉を意味する英語のスタイル,フランス語のスティル,ドイツ語のシュティルは,この鉄筆からきた言葉である。ローマ人はこの蠟板を書信の往復にもよく使った。…

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