改訂新版 世界大百科事典 「アルテベルデ」の意味・わかりやすい解説
アルテベルデ
Jacob van Artevelde
生没年:1290ころ-1345
フランドルの政治家。アルテフェルデとも読む。ヘントの富裕なビール醸造業者で,百年戦争初期にヘントの政治的指導者となる。毛織物業が繁栄し,イギリス産羊毛を輸入するフランドル諸市は,イギリスと密接な利害関係にあった。彼は1337年,それら諸都市を糾合し,イギリス王エドワード3世の援助をえて,フランスおよびフランドル伯に反乱を起こした。ブリュージュの外港でフランス艦隊はイギリス艦隊に敗れ,38年フランドル諸市はフランス国王に種々の都市特権やイギリスとの通商を承認させた。しかしフランドル諸市間の不和,市民階層間の対立が絶えず,アルテベルデはエドワード(黒太子)をフランドル伯に就けようとして,毛織物業者の反乱にあい殺された。彼の子フィリップPhilip van Artevelde(1340-82)もヘント市民を率いてフランドル伯に反乱を起こしたが,ローズベーケRozebekeで敗れて殺された。
執筆者:栗原 福也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報